2011年05月11日

review:小野さおり展「ギフト」《4/9、4/14》

review:小野さおり展「ギフト」《4/9、4/14》

小野さおり展「ギフト」
GALLERY MoMo Ryogoku
東京都墨田区亀沢1-7-15
03-3621-6813
4/9(土)〜5/14(土)日月祝休
11:00〜19:00
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Saori Ono "GIFT"
GALLERY MoMo Ryogoku
1-7-15,Kamezawa,Sumida-ku,Tokyo
03-3621-6813
4/9(Sat)-5/14(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday
11:00-19:00
Google translate



ぱっと目にしたときにその「色」で自身の世界へと誘ってくれるような、代名詞のような色彩を持つクリエイション。六本木のスペースで初めて小野さおりさんの個展を拝見したときも、その青とも緑とも言えそうな独特の深くて暗い、しっとりと落ち着いた色彩の印象が強く残っています。
以降同時期に受賞し話題をさらった群馬青年ビエンナーレとシェル美術賞を経て、場所をリニューアルした両国のスペースでに移して開催されている今回の個展。オリジナリティを感じさせるその色彩はもちろん、ぼんやりと膨らむように滲む輪郭の風合いを程よく保たせながら、そこにさまざまなアプローチにおいて豊かな緩急が持ち込まれ、やさしくやわらかな重厚さをその世界観に纏わせて独特の気配が展開されているような感じです。


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それぞれのモチーフの稜線が奏でるまろやかな輪郭はどこかユーモラスで、またその線自体も丸みを帯びていて、じんわりと何とも言えないテイストがそれによって醸し出されているようにも思えます。
そして何より透明のガラスの描写の巧みさに唸らされます。被せられるガラスの蓋、ドーム状のかたちの安定した美しさがていねいに表現されて、なかに収まる海産物や鉱物のかたちもしっかりと見せながら、そこにひとつの層が存在していることもしっかりと、しかし自然に認識させてくれて、相当にふわふわとしていて奇妙なシチュエーションでありながらもそこに横たわる説得力は強固でファットに感じられます。


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もりもりと、わさっと盛られる海産物。もわもわとたゆたうような風合いがそこかしこから感じ取れ、盛られる器自体もまるで水の中に沈められているような不思議なイメージが届けられます。
そこにさらに背景となる部分に細い線描でさまざまな草花の紋様が描き込まれて、その繊細な風合いが、画面の中央に鎮座する器に盛られガラスの蓋が被せられた海産物のどっしりとした存在感を際立たせています。


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画面の多くに広がる独特の深い色調。そのなかにさまざまな色彩が散りばめられているのも楽しいです。それぞれの色彩は深い青緑との決定的な境界がなくて、晴れた夕刻の空の青空と夕暮れとが同じ瞬間の空に共存しているときに感じる不思議な感覚が随所から届けられます。
そのむしろストイックに意図的な「曖昧さ」が描かれる情景にやさしくまろやかな風合いをもたらしているようにも思えます。


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イソギンチャクのような有機的なモチーフをシンプルに描く作品も。水の中深くでゆらゆらと漂う感じが伸びる触手の絡まりから感じ取れます。


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珊瑚や鉱物といった硬質なモチーフを描く作品。被せられる蓋が描かれないことで、シチュエーション自体もよりシンプルに表され、モチーフのユニークさがクールに提示されます。そしてその輪郭が例によって丸みを帯びたまろやかな稜線で描写され、さらに鉱物を彷彿させる部分は線同士が微妙に離れていてコミカルな風合いがそのシャープなかたちにもたらされて、何とも味わい深い気配が紡がれます。そこからこの世界を紡ぐこと自体における不思議なスタンスが顔を覗かせているようにも思えます。


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人物が登場する作品は、世界観のシュールさがさらに強烈に醸し出されます。
くりっとした目の輝きがなんともかわいらしく、またどこか感情が抑え込まれ、押し殺されたような感じも伝わり、別の生物とのハイブリッドとなっている様子も奇妙なイメージを色濃くしていきます。


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どこからかにゅうっと腕が伸びてガラスの蓋の内側に現れている作品、まるで毛糸のセーターの表面のようなリズミカルな緑の線の密集のもわもわとした感じも何とも印象深く、また指先の細身の線の繊細さも引き立てます。


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小さな画面のシンプルな構図も楽しい静けさとなって小気味よく迫ってきます。
モチーフのかわいらしさが小さな画面によって引き立ちます。


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多くの作品で独特の青緑の色調が用いられていることもあり、赤紫系統の色調で纏められた大小2点の作品はその味わいの差異が実に興味深く思えます。
しっとりと沈むような深みを感じさせてくれる青緑の色調と比べていっそう艶かしくスリリングなイメージが届けられるような印象で、またこの色彩での展開も楽しみになってきます。


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バラエティに富む線の表情やメインの色調のなかに収まるさまざまな色彩、微妙にぼやかされる輪郭が独特の緩さをその世界にもたらし、得難い心地よさを持ち合わせる不思議なイメージとなって届けられます。
そして、作品それぞれの画面の仕上がりの美しさにもおおいに感じ入ります。すうっと染み渡るように広がっていく色や質感は、画面のフラットさによってその風合いが失われることなく観る者に届けられ、それが描かれる世界へと意識をスムーズに誘ってくれるんです。


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posted by makuuchi at 05:45| review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年05月10日

review:佐藤亮太『who is it wears the mask』《4/2》

review:佐藤亮太『who is it wears the mask』《4/2》

佐藤亮太『who is it wears the mask』
アルマスGALLERY
東京都江東区深川2-2-3
03-6412-8210
3/19(土)〜4/2(土)月休
12:00〜19:00
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Ryota Sato "who is it wears the mask"
HARMAS GALLERY
2-2-3,Fukagawa,Koto-ku,Tokyo
03-6412-8210
3/19(Sat)-4/2(Sat) closed on Monday
12:00-19:00
Google translate



ひとつの画面に交錯するさまざまな線。
複数の層が硬質でアグレッシブな空間をそのなかに導き出し、シャープで動的なインパクトに溢れる世界が展開されます。


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画面側面に垂れる絵の具の痕跡が下地の生々しさを表し、その「もの」としての濃厚な風合いを強くて維持しているようにも思えます。その下地にひたすらに重ねられるさまざまな線や色面。全像は混沌としていて危うささえ思い起こされますが、至近で眺めていくとそのひとつひとつは逆にエッジが立つ鮮烈さと鋭さを持ち合わせていることに気付かされ、そこからこの硬質な世界へと一気に誘われていきます。


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さまざまなかたちでの展示が空間にもリズムを生み、それが展開される世界観にも作用していっそうホットでクールな雰囲気となって包み込んできます。線の上に重ねられる色面によって、その線の輪郭のみが色面のなかから浮かび上がる様子など、画面上に構築される細微な立体感にも魅せられます。


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色彩のチョイスのバリエーションも、それぞれの作品に独特の味わいをもたらします。
個人的には薄い色面にくっきりとした線が展開される作品がその世界のクールさをもっとも鮮やかに引き出しているように感じられた次第。シャープな線の輪郭がさまざまな色彩で描き出され、生み出される表情は混沌としていながらもむしろそこに洗練された風合いすら感じられ、そのクールさに引き込まれます。


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大判の作品ではシルバーが大胆に用いられ、ひときわ硬質な雰囲気が導き出されていた次第。最も手前の表層に広がる金属的な光沢がさまざまな表情を覆い隠し、アバンギャルドなブリリアントさの奥底に魑魅魍魎としたシャープな混沌が蠢いているようなイメージが興味深く思えます。


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線の鋭さ、鮮やかさはむしろ無機的なほどでありながら、重なる色やかたちなどには感覚的な有機性が溢れ、それがこの世界の独創性へと昇華しているような印象です。
さまざまな実験がそれぞれの作品で繰り広げられているような感じもあり、そこからの発見でさらに整理されコントロールされた混沌が生み出されるとしたら、そのクールネスは尋常でないはず、という期待感も高まります。


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posted by makuuchi at 08:43| review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

review:小橋陽介展「自画持参」《4/2》

review:小橋陽介展「自画持参」《4/2》

小橋陽介展「自画持参」
NADiff Gallery
東京都渋谷区恵比寿1-18-4-B1F
03-3446-4977
3/24(木)〜4/24(日)月休
12:00〜20:00
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Yosuke Kobashi; jiga-jisan
NADiff Gallery
1-18-4-B1F,Ebisu,Shibuya-ku,Tokyo
03-3446-4977
3/24(Thu)-4/24(Sun) closed on Monday
12:00-20:00
Google translate



とりあえずどーん!
どんなシチュエーションか分からないんですけど後ろのマス目がとりあえずゴールネットだとしてそのマス目が比較的小さい感じがするからサッカーというよりはハンドボールのゴールネットなのかなということにしておいて倒れ込みシュートを観光すべくゴール前に飛び込んだらリンゴ纏ったキーパーがひょーいって感じで横っ飛びで漂ってきてそれに絶句してシュートできずにそのまま倒れ込む的なイメージがどーん!


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・・・状況説明長ぇよ俺...


もとい、NADiff地下のコンパクトなスペースにいっぱいに溢れる小橋陽介さんの世界。タイトルも「自画自賛」ならぬ「自画『持参』」となかなかにユーモアが効いていて出ていていい感じ、そして何よりそのバイタリティがこの空間に遺憾なく発揮されていてなんとも賑々しい痛快な世界が作り上げられていたのが強く印象に残っています。

お馴染みの自画像はもちろん、自身が登場しない新展開の作品も組み込み、さらにその世界の拡張が試みられていたのも興味深く思えました。


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壁面いっぱいのサイズの大作。これが圧巻。
境内に自画像をふんだんに画面に登場させ、それぞれがとにかくキッチュでシュールな仕草を繰り広げて生み出されるどうしようもなくコミカルなカオス。そもそも人の背の高さほどの巨大なフランスパンを抱えて堂々と立つ姿の何故にそんなに圧倒的なの、とか、右側に大きく描かれる仏閣の線描の律儀さからこみ上げてくる可笑しみとか、一方でそこかしこに挿入される赤系統の強い色彩のエネルギッシュな感触とか、いろんな要素が天真爛漫に描き重ねられて作り上げられる情景は空間の圧迫感も相まってその独特の雰囲気がいっそう濃厚に凝縮され、ひたすらに高揚感を煽ってきます。


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一転、海と空とがひとつの空間に重なったような世界。
沈む青がしっとりとした重厚な静謐をそこに漂わせ、暗い情景がひと味違う気配を届けます。


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ひとつの壁面に所狭しと飾られる作品群、そのバラエティのさらなる豊かさにあらためて感じ入る次第。さまざまな色彩がひとつの視界に溢れるさまはなんとも痛快です。


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そんななかで、馬をモチーフにした作品が比較的多く発表されていたのも興味深く感じられた次第です。
活き活きとした筆さばきで描かれる馬の姿は精悍、大胆な配色と構図がもとより持ち合わせるキッチュさを保たせ、新たなテイストとともにユニークさも押し拡げられます。


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これまで自画像で展開されてきたように、ひとつの画面にたくさんの馬の姿を描いた作品も。その賑々しさはモチーフが変わっても痛快極まりなく。さらにダイナミックな動きに満ちた情景となって迫って、ユーモアもキレを保持しながらおおらかに繰り広げられているように思えます。


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さらに、船舶を描いた作品も興味深いです。
帆船の壮観な勇士が臨場感たっぷりに描かれその格好良さがしっかりと表現されていることにもおおいに感じ入ります。


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その帆船と自画像とが重なると、一気にシュールさも加速。
どっしりと船舶に乗られてどう考えても穏やかならぬ状況なれど、コミカルな雰囲気がむしろ強く醸し出され、妙に安穏とした表情もあって不思議と長閑な雰囲気が奏でられます。


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これまでストイックなほどに連綿と継続して繰り広げられてきた自画像による展開で作り上げられた世界観は、今回の個展で多く発表された自画像が登場しない作品でもしっかりと受け継がれ、またそのアプローチの広がりがそのまま世界観も押し拡げているように思えます。
さまざまなモチーフがいろんなかたちで画面に登場してこれからもいっそうダイナミックにその物語が紡がれていくように感じられて、ワクワクする気持ちも膨らみます。


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posted by makuuchi at 07:48| review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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