2011年05月18日

review:越中正人 "individuals"《4/16、4/21》

review:越中正人 "individuals"《4/16、4/21》

越中正人 "individuals"
nca | niched contemporary art
東京都中央区八丁堀4-3-3-B1
03-3555-2140
4/15(金)〜5/21(土)日月祝休
11:00〜19:00
越中正人110415.jpg

Masahito Koshinaka "individuals"
nca | niched contemporary art
4-3-3-B1,Hachobori,Chuo-ku,Tokyo
03-3555-2140
4/15(Fri)-5/21(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday
11:00-19:00


黒いフレームに収められたふたつの閃光。それぞれ星の瞬きと火の粉という極端に距離の異なる光がひとつの画面に重ねられ、これまでの花のシリーズなどとはまたひと味違うアバンギャルドで熱を帯びた静謐が空間にもたらされ、その重厚さに意識が沈んでいきます。

やや暗めの照明に設定された空間にずらりと並ぶ大判のプリント、そのなかに散りばめられるさまざまな光の情景に、この場所にもたらされる縮尺のイメージが歪められ、何だかミニマルな空間へと誘われていくような錯覚に満たされていきます。


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そもそも飛び散る火の粉にピントを合わせて撮影しようと考えた時点でこの世界観の深みの獲得を決めているようにも思えます。おそらくは凄まじく感覚的に瞬間を捕らえたものと見受けるのですが、火の粉が燃え盛る炎から溢れて散らばる様子を思い浮かべたときの無軌道で無秩序な感触とは裏腹に、瞬間に見せる様子は実に幻想的で、激しい動的な感じは限りなく抑えられ、むしろ浮遊感さえ思い浮かんでくるほどにゆらゆらとゆっくりとした時間がその瞬間に凝縮されて現れているイメージが届きます。


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背景の漆黒の重厚感に、大小さまざまなサイズの赤い球体がその輪郭を際立たせ、また妖しい風合いもいっそう強められます。星空も重ねられているのですが、その青や白の光の研ぎ澄まされたシャープな雰囲気と、火の粉のひたすら暗く深い輝きとがひとつの奥行きのなかに収まって、何とも不思議な空間性が導き出されています。まさにどこまでも続いているような、終わりのない世界がそこに存在しているかのようなイメージに感じ入ります。


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プリントを至近で眺めたときのぼんやりとぼやけた輪郭のなかにさまざまな微妙な表情が生み出されていることにもまた、ぐっと引き込まれます。むしろひたすらにぼやけていて背景の闇との境を判然とさせない様子が妖しさとなって観る側の意識に作用し、実際は火の粉という相当に刹那的な存在であるにも関わらず、生命の神秘を彷彿させるような純度の高い神々しさもそこにあるようなイメージが思い浮かんできたり。。。


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抽象的で無機的な風合いがもたらされることにも惹かれます。
おそらくは撮影してみないとどんな瞬間が捕らえられているか確認できないだろうと思われ、だからこそ相当な回数、シャッターが押されて取り込まれた場面から厳選されたものが作品化されていると推測するのですが、やはりそれだけあって提示される情景には奥行き感であったりはたまた別のイメージとのクロスオーバーをスマートにもたらしてくれたりと、いろんな面白さを提供してくれています。少なくとも僕はここに撮影されているものが火の粉であることは伺うまでは分かっておらず、観たときに「一体なんだろう」という好奇心がその暗い情景に対して湧いてくる感覚がなんともスリリングで、それが火の粉であることを知ったときの衝撃と、驚いたことへの嬉しさもまた痛快だったりします。


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映像も合わせて上映されています。
こちらは分かりやすく星空と炎とを重ねたもので、動きがあるぶんそこに流れる時間のイメージがより具体的に届けられ、展示されている作品への想像のヒントとしても機能しています。やはり炎の動きが実際に提示されるとその重厚な激しさが実感でき、それがそれぞれの写真作品の静謐も際立たせています。


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越中さんのこれまでの花や街並を捕らえて独自の解釈で手を加えて制作された写真作品群は、撮影の手法なども含め、何らかのエフェクトがかけられることで敢えて抽象的な風合いが強く押し出されていたり、巧みにぼやけさせられる輪郭が一方で同時に具体的なイメージを追わせることを促したりと独特の展開を持ち合わせていてそこが魅力に感じられます。しかし今回はむしろ被写体自体は案外ストレートに撮影されていて、そこに起こる偶然性をしっかりと提示することで逆に、考えられないような凛とした緊張感に満ちた深遠な抽象世界となって静かに迫ってくるような印象です。
赤い至近の瞬きは遠くへと連なり、いつしかその奥に輝く星の光を追い越してさらに向こうでその存在を提示しているように思える感じなどもこのシリーズ作品のユニークさをさらに強めています。


越中正人_22.JPG
posted by makuuchi at 08:16| review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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