2011年03月30日

review:Frank Nitsche [ I AM SINGLE ]《2/19、3/1》

review:Frank Nitsche [ I AM SINGLE ]《2/19、3/1》

Frank Nitsche [ I AM SINGLE ]
NANZUKA UNDERGROUND
東京都港区白金3-1-15 SHIROKANE ART COMPLEX 2F
03-6459-3130
2/19(土)〜3/26(土)日月祝休
11:00〜19:00

Frank Nitsche [ I AM SINGLE ]
NANZUKA UNDERGROUND
3-1-15-2F,Shirokane,Minato-ku,Tokyo
03-6459-3130
2/19(Sat)-3/26(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday
11:00-19:00
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ギャラリーに入った瞬間に、完成された考え尽くされた空間構成にまず唸らされた次第。モノトーンで構成され、幾何学的なモチーフや線がひとつの画面に重ねて描かれて構築される情景は淡々と無機的な雰囲気を紡ぎ出し、同時にどこか建築物の図面を彷彿させる構図が壮大なスケール感も届けてくれて、未来的な雰囲気に一気に引き込まれます。


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ひたすらに無機的なモチーフが描き重ねられるペインティング。
正面に描かれる楕円状の色面は硬質な構図にふくよかさをもたらし、それがクールな世界観に絶妙にあたたかなテイストが届けられます。
一方でさまざまに描き加えられるラインが生み出す図形的なパースがそれぞれの画面に三次元的なイメージを導き出します。それぞれの色面や線が関係し合い、また抽象的な構成だからこそひとつの縮尺感に捕らわれないおおらかな自由度も提供され、そこから想像が広がっていくのも痛快です。


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画面に配される曲線のおおらかさに魅せられます。
描かれる弧の豊かさは、淡々とした色調と響き合ってそこによりダイナミックなスケール感を提供します。


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それぞれの作品をじっくりと至近で眺めていると、微妙に立体的になっているマチエルに興味が湧いてきます。
ひとつの画面はどうやら何層も重ねてモチーフが描き上げられているようで、別の色面が被さってその下に沈む線や色面の存在に意識が向かうと、対峙する作品の物理的な構造へも想像が膨らんでいきます。


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画面に平面的に提示される立体感がもたらす壮大さに加えて、重なる色面や線の物理的な構造が導き出す奥行き感が、眼前の情景にさらなる深みをもたらします。重なっている色面と色面との間に三次元的な空間を意識できた時点でそのスケール感はいっそう壮大になり、複雑さも増し、そして構築される過程へも想像が向かうことでさまざまなかたちにイメージが広がっていくのも痛快です。


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大胆に展開される構造の面白さがとにかく痛快です。大きく塗られた色面のひとつ向こうに潜む線の交錯や色面の配置を思うとワクワクしてきます。
また、描かれる過程を想像したとき、おそらくはその時点で出来上がる構造によって新たにインスピレーションが生み出されたのだろうという思いに至り、そのことが見えなくなっている部分への好奇心も掻き立てます。


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床まで白い空間が、展示されいる作品の面白さをぐっとシャープに引き出していて、また作品ごとのサイズや色合いなどのバランスを感覚的に意識したと思われる配置の絶妙さにも感じ入りました。
ひとつの空間にもたらされるスマートさ、ストレートな統一感、とてつもなくクールな雰囲気など、そこに導き出されていた気配すべてが洗練されていて、深遠なイメージに意識も沈み込んでいきました。
圧倒的な世界観に浸れたのが得難い経験だったように思えます。


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posted by makuuchi at 07:49| review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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