2010年12月20日

review:藤部恭代 -ARABESQUE−《12/4》

review:藤部恭代 -ARABESQUE−《12/4》

藤部恭代 -ARABESQUE−
YOSHIAKI INOUE GALLERY
大阪府大阪市中央区心斎橋筋1-3-10 心斎橋井上ビル
06-6245-5347
12/4(土)〜12/25(土)日祝休
11:00〜19:00
藤部恭代101204.jpg

Yasuyo Fujibe -ARABESQUE−
YOSHIAKI INOUE GALLERY
1-3-10,Shinsaibashisuji,Chuo-ku,Osaka-shi,Osaka-fu
06-6245-5347
12/4(Sat)-12/25(Sat) closed on Sunday and national holiday
11:00-19:00
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YOSHIAKI INOUE GALLERYでの藤部恭代さんの個展です。

そのヴィヴィッドな色彩感、妖しく絢爛の気配に圧倒されます。
さまざまな仕草や表情で魅せる女性の肖像と、複雑なレース模様とがひとつの画面に重なり、独特の空間がそこに導き出されているように思えます。


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大きな画面いっぱいに描かれる女性の肖像は、充分な写実性を誇り、巧みな陰影と配色で臨場感たっぷりに表現され、そのアンニュイな艶かしさをおおらかに放っています。
そこに被さるように重なっている複雑なレース状のパターン、遠目で眺めた時点ではまさに女性の肖像にレースが重なるような印象なのですが、至近で拝見すると、レースのほうが物理的には奥のほうになっていることに気付かされ、作品の「もの」としての構造にも興味が湧いてきます。


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キャんバスに下地となる色彩が塗られ、その上にマスキング液のようなものでレース模様をまず描き、その上に女性の肖像をさらに描いたのち、マスキングを剥がす、といった行程で制作されているようで、藤部さんから伺ったお話によると彫刻のようなテクスチャーを絵画で表現できないか、というところからこういった表現にいきついた、というようなことを仰っていたのが印象的で。
ペインティングとしてのユニークさ、ふたつの異なる平面世界が重なっていることの面白さに加えて、その行為自体の面白さにも惹かれていきます。マスキングを剥がす際に出てきてしまう微細な剥落にその行為の生々しさが感じ取れて、写実性の高い女性の肖像と結構な密度のレース模様というそれぞれにしっかりとした描き込みが予期せぬ衝突や歪みをもたらしているような感じが興味深く思えてきます。


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肖像の背景と下地の色彩的な関係性、またレースのパターンの展開と肖像の位置の関係性からもさまざまな想像が得られ、膨らんでいきます。それぞれは、特にレース模様と肖像とは関係を前提に制作されていないそうで、レースの揺らめくような展開が導き出す抽象的な奥行き感がストレートな肖像の奥行きを浸食しているような感じもあって、それが不思議なイメージを届けてくれるように思えます。


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小品も数点。
大きな作品では下地と背景の色彩が基本的に同系統の色彩を用いている印象なのですが、小さな作品ではそのあたりに逆にギャップをもたらしているような感じで、それが独特の違和感を生み出しているように思えます。


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おそらく手法自体は斬新ではないと思うのですが、この手法を取り入れることで得られる不思議な空間性と行為の生々しさがしっかりと現れているところに面白さを感じます。さらに発展性を備える表現のようにも思えて、さまざまな実験を経られていったときにさらに複雑な空間や得難い色彩の展開も創出されるような気もします。


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posted by makuuchi at 23:09| review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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