2010年09月25日

review:石井亨展「都市の時間」《9/1、9/4》

review:石井亨展「都市の時間」《9/1、9/4》

石井亨展「都市の時間」
ミヅマ・アクション
東京都目黒区上目黒1-3-9 藤屋ビル2F
03-3793-7931
9/1(水)〜10/2(土)日月祝休
11:00〜19:00
石井亨100901.jpg

ISHII Toru ”Metropolitan Moment”
MIZUMA ACTION
1-3-9-2F,Kami-Meguro,Meguro-ku,Tokyo
03-3793-7931
9/1(Wed)-10/2(Sat) closed on Sunday,Modnay and national holiday
11:00-19:00
Google Translate(to English)



ミヅマ・アクションでの石井亨さんの個展です。

石井さんの作品を初めて拝見したのは昨年のTCAFのミヅマアクションのブースで、同ギャラリーの目のつけどころに感服した次第。また、テキスタイル、なかでも「染織」というメディアに興味を持っていて、なかなか出会うことが少ないながらも自分なりに目を凝らし、気にしていたところで石井さんの作品を目の当たりにし、「うわ・・・」とそこで繰り広げられている巧みな描写と鮮やかな色彩に感嘆させられました。その後、芸大の卒修制展でも拝見し、「あ、あの時の・・・!」と思いながらふたたび唸らされ、そして今回の個展。それはもう楽しみだったさけでして...。

絵画でいうところの「支持体」を直接染めていく、という、おそらくやり直しが利かないある種のリスクを背負いながらの手法で、ここまでの密度が表現されていることに、もう単純に感嘆させられます。そして、直に作品を観て伝わる独特の風合い、ペインティグでキャンバスの地が画面に現れるのとはまったく異なる布の質感など、染められた布地自体は既に身近に目にしているので馴染みがあること逆に作用して、さまざまな感触が新鮮に感じられます。


石井亨_40.JPG 石井亨_39.JPG 石井亨_38.JPG

石井亨_37.JPG 石井亨_36.JPG 石井亨_35.JPG

石井亨_34.JPG



友禅染の伝統的な技法によって繰り出される世界は、時に相当にキッチュな方向へと大きく振れていくのも実に面白いです。
縦長の作品、茜色の空を背景に聳えるタワーにはよく知るチェーン店の看板がずらりと灯り、その下にだらりと流れ落ちる奇妙な色彩をよくよく眺めていくとそこにその看板にあったものが映り込んでいる、という...。そしてこの垂れる様子はトイレットペーパーをモチーフにされていたりする、といった塩梅。明るい青で両脇に描かれる動物など、装飾的にパターンを織り込みながらなんとも不思議なシチュエーションが展開されていっていて痛快です。


石井亨_33.JPG 石井亨_32.JPG 石井亨_31.JPG

石井亨_30.JPG 石井亨_29.JPG 石井亨_28.JPG

石井亨_27.JPG



続いてはピザ。既にこの色調が、いかにも「食すと危険」的なケミカルなイメージを彷彿させて、そのギャップが面白くてしょうがなく、その上にピザだとサラミに当たる部分が自動販売機を直上から眺めたような感じになっていて、そうなるとこの空間にまったく別の縮尺のイメージが届けられ、さまざまな角度で翻弄されていきます。その自販機の部分に細かく金泥(おそらく・・・)が乗っかっている辺りにもまた、別方面へと展開されるゴージャスさが思い起こされます。
というか、そもそも「友禅染」である、という時点で相当に意表を突いているわけでして...。


石井亨_26.JPG 石井亨_25.JPG 石井亨_24.JPG 石井亨_23.JPG

石井亨_22.JPG



横長の作品も圧巻です。
ずらりと並ぶコンビニの看板、そのひとつひとつは看板というよりもまるで電飾のような色彩で表現され、またその色は全体を染め上げる黒の黒さに鮮烈に際立たされているように感じられます。
さらに随所に投入されるさまざまなモチーフ、メタボ腹の紳士の行列たら紫雲、鳥の骸骨などそれぞれのモチーフの関係性は深い謎めきを醸し出し、それでいて、ひとつの情景として、SFチックに展開されていることにもぐっと惹かれます。


石井亨_21.JPG 石井亨_20.JPG 石井亨_19.JPG 石井亨_18.JPG

石井亨_17.JPG



奥のスペースにもひときわ鮮やかな色彩の作品が。
描かれる情景は全体的に「和」の風合いを保っていてその感触に純粋に「いいなぁ」という感想を持ち、そこから次々に気付かされていく違和感が、ぱっと目にした瞬間の感触をどんどん崩していって、貫かれる現代性によってまた別の世界が脳内に構築されていくような感じがどうにも痛快で堪らない。。。
建立中の道路がそこかしこにあって、何というか「日本橋の上に高速道路が通っているのってどうなのよ」的な真っ当な皮肉がそこから感じられるようにも思えます。そしてこれを友禅染で表現することが、さらにその印象を深めているようにも。。。無論作り手のその立ち位置がポジティブで明るいために、そういった印象にも暗さはなく、むしろ頼もしく、楽しく感じられるんです。


石井亨_16.JPG 石井亨_15.JPG 石井亨_14.JPG

石井亨_13.JPG 石井亨_12.JPG 石井亨_11.JPG

石井亨_10.JPG



小品もずらりと並んでいます。
ゴミをモチーフとしてピックアップし、その輪郭を辿って現したような作品。


石井亨_09.JPG 石井亨_08.JPG 石井亨_07.JPG

石井亨_06.JPG



色の渋みや布の質感と、そこに現れるモチーフの絶妙なリアリティが堪らないです。こちらの作品でもほんの少しだけ金泥が使われていて、ゴミがゴージャスに飾られているような印象も奇妙な面白さを醸し出しているように思えます。


石井亨_05.JPG 石井亨_04.JPG 石井亨_03.JPG

石井亨_02.JPG



染織の魅力は、まずはなんといってもひとつひとつの色面の美しさだと思っていて、その点において石井さんの作品はまさに圧巻というか、大きく広がる色面もほぼ均一に染まっていることが、それぞれの作品のスケール感をいっそう壮大なものにしているように感じられ、またそこへの拘りも感じられるのも嬉しく思えます。まさに染織でこそ味わえる質感をたっぷりと堪能できるんです。
加えて、米粉をマスキング的に用いて細かい輪郭や表情が加えられている部分の緻密さにも感じ入ります。

伝統を慮り、その流儀に従いながら、独特の感性で連綿と続く日本的な世界に現代性を取り込んでいくスタンスが痛快です。ぜひとも染織表現の可能性をぐんぐんと、さらに押し拡げていってほしいと強く思う次第です。


石井亨_01.JPG
posted by makuuchi at 10:12| review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。