2010年08月27日

review:大川心平展「既知の地平」《8/21》

rreview:大川心平展「既知の地平」《8/21》

大川心平展「既知の地平」
NICHE GALLERY
東京都中央区銀座3-3-12 銀座ビル3F
03-5250-1006
8/16(月)〜8/21(土)
11:00〜18:30
大川心平100816.jpg

Shinpei Okawa exhibition "A Given Horizon"
NICHE GALLERY
3-3-12-3F,Ginza,Chuo-ku,Tokyo
03-5250-1006
8/16(Mon)-8/21(Sat)
11:00-18:30
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NICHE GALLERYでの大川心平さんの個展に行ってきました。

今年に入ってから銀座スルガ台画廊で開催された個展から考えると信じられないほどのインターバルの短さで開かれた今回の個展。大作1点のみが前回の個展で発表されているのを除いた他の全てが新作で構成されていることにまず驚嘆。この短期間の間によくぞここまで制作されたもの、と、その事実に平伏したくなるような気分も沸き起こってきます。
ひとつの画面にハイパーな密度と膨大な情報量が備わり、圧倒的に精緻な具象表現で展開される情景が大小さまざまなサイズの作品の中で展開され、またそれらがひとつの「展覧会」の体を成しているというか、ひとつの世界観のなかでの豊かなバリエーションが繰り出されていて、さまざまな視点においても感嘆させられた次第です。


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過疎化したような、どこか荒涼とした場所に建立している空間。
そのなかにおける整った雰囲気と、その外側の寂れた雰囲気とのギャップが臨場感たっぷりに描写されています。内と外との時空のズレも不思議な感覚を呼び起こしてきているようにも思えます。


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今回は、画面のド正面に建築物を描いたストレートアヘッドな構図の作品でほぼ統一されているのも印象深く感じられた次第。
大川さんの描写が醸し出す説得力は、展開されるリアリティのアベレージの高さによって強固に保たれ、それがそこに創出されている情景のシュールさにも、臨場感をもたらしているようにも思えます。
また、建物の内側から放たれる光やところどころの粗いテクスチャーなど、輪郭を持たないモチーフや抽象的な要素もスマートに挿入されていて、それが独特の深みを奏でているようにも感じられます。


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この構図にもたらされるバリエーションには、単に構造の微妙な差異だけでなく、作品ごとに季節感や温度感も大胆なコントラストがもたらされ、それが1点1点の作品のなかの気配に作用し、奏でられる物語もより具体的なイメージが届けられ、時間のイメージこそ曖昧なのですが、空気や温度、音などの見えない要素にさえ、その存在に輪郭をもたらしているような気もしてきます。
それがもっとも鮮烈に現れているように感じられたのがこの雪景色の作品。雪だるまやつららなどのモチーフからは、この情景を楽しく「装飾」しているようなポップなユーモアも感じられ、白が多いことで全体的に明るい雰囲気が引き出されているように思えるのも興味深いです。


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さらに、それぞれの作品が奏でる物語性が、いっそうのミステリアスな雰囲気へと誘っていきます。
おそらくは廃墟で、しかし壁が開いた1階の内装、鮮やかな色彩が絡まるゴージャスさが幻想的なイメージさえも届けてくれます。
一転して青に錆びた色調が全面的に混ざる外壁の感触は、室内の謎めくようなファンタジックな気配から殺伐とした雰囲気へと意識を引き戻しにかかってきているかのような、危うい生々しさが印象的です。


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そして圧巻だったのが、幅4m知覚にも及ぶ大作。
サイズがそのままスケール感の壮大さ、荘厳さを醸し出し、またそのなかに展開される情景やモチーフにもバリエーションがもたらされて、ダイナミックなイメージのなかにぐんぐんと引き込まれていきます。
水面に浮かぶ謎めく構造の島。焼けた空を彼方に見据えながら、全体としてやや暗めな雰囲気が全体を包み、それが島に建つ空間の内側の広がる空のおおらかさ、ポジティブな明るさを際立たせているようにも思えます。
また随所に挿入されるユーモアもいっそう楽しく感じられます。水面に映り込むさまざまなモチーフの深く揺らめくような感触であったり、ところどころにまったく無関係な要素も唐突に見つかったりして、その度にこの作品から得られる楽しさもぐんぐんと膨張していくような気もしてきます。


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展開される情景のファンタンジックさや自由さがとにかく心地よくカ感じられたのが印象的でしたが、1点ごとの意味に置いても、また展示全体としても、これからどんな世界が創出されていくかも楽しみです。


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posted by makuuchi at 00:59| review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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