Landschaft V 川久保ジョイ、高田安規子&政子、吉岡さとる
@ラディウムーレントゲンヴェルケ
東京都中央区日本橋馬喰町2-5-17
03-3662-2666
5/8(土)〜5/29(土)日月祝休
11:00〜19:00
Landschaft V Yoi KAWAKUBO,Akiko & Masako TAKADA,Satoru YOSHIOKA
@Radi-um von Roentgenwerke AG
2-5-17, Nihonbashi Bakuro-cho,Chuo-ku,Tokyo
03-3662-2666
5/8(Sat)-5/29(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday
11:00-19:00
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レントゲンヴェルケのシリーズ企画、「風景」をテーマとした展覧会の第5回。今回は3組のアーティストが紹介され、初めて写真作品のみで構成されています。
川久保ジョイさんのモノクロームの写真。
分厚い透明のプレートにマウントされた横長の風景写真、どこか神々しさが醸し出され、殺伐とした幻想的な気配へと誘ってくれます。
大胆な陰影がもたらす力強いダイナミズムにも惹かれます。
中央に聳える岩の達観。ものを言わぬ佇まい、そこから時空を超えて紡がれるような重厚な物語性が展開されていくようなイメージももたらしてくれます。
ある程度統一される構図と、それによって提示されるバリエーションの面白味も興味深く感じられます。
川久保さんの風景から一転、吉岡さとるさんは極めて人工的な情景を捉えます。
圧倒的な機能美、視界のすべてが機械的なものに覆われる状況がそのなかに収められ、さらにその造形のひとつひとつはむしろ過剰なくらいにシャープで、それによって放たれる未来的な感触にも高揚させられます。
金属的な光沢の生々しいぎらつきが、圧巻の臨場感を創出しているように思えます。
すべてが機能に帰結していることの冷徹さ。そこにもたらされる無数の幾何学的な造型、形状、そしてその羅列。重厚なノイズすら脳裏に響き渡るかのような気配感に圧倒させられ、そしてそのクールさに、機械的なものにひたすら憧れ心を踊らせた童心も引き出されてくるように感じられます。とにかくこの格好良さに魅入られます。
先日の神楽坂での個展も印象的だった高田安規子さんと政子さんの姉妹も、今回は写真作品を発表。
あらためてこのサイズで拝見し、その不思議な世界観にあらためて感嘆させられた次第。
実際に生えている苔を摘んでそのなかにつくりあげられたミニチュアの迷宮。
ほぼ実物大にプリントされていて、実際に拝見するとその臨場感もひときわ鮮やかに届けられます。
そして、写真「画像」としてのワクワクするような感じとともに、そこを過ぎていったさまざまな時間へもイメージが広がっていきます。
苔が育ちここまで広がったという自然の時間の流れであったり、この迷宮が創り出される為の時間、これをこの場で見付けた人が瞬間的に感じた嬉しさとその持続、さらにはこの苔の迷宮ががこのあとどういう風になっていったのだろう、というちょっとだけ切なような想いなど、さまざまな濃度の時間がかさなっていって、それがこの情景に対する印象を深めていきます。
あと単純に、ここを見付けて苔をちみちみと摘んでいくおふたりの姿を思い浮かべるのもまた楽しかったり...。
おそらく「なにやってるんだろ」的な感じだろうなぁ、と勝手に想像し、それもまた今回の写真作品へポジティブなイメージをもたらしてくれるんです。