2010年05月24日

review:鋤柄ふくみ はだか《5/15》

review:鋤柄ふくみ はだか《5/15》

鋤柄ふくみ はだか
白土舎
愛知県名古屋市中区錦1-20-12 伏見ビル地階
052-212-4680
5/8(土)〜6/5(土)日月祝休
11:00〜19:00
鋤柄ふくみ100508.jpg

Sukigara Fukumi "Hadaka"
Hakutosha
1-20-12-B1F,Nishiki,Naka-ku,Nagoya-shi,Aichi-ken
5/8(Sat)-6/5(Sat) closed on Sunday,Monday and natinoal holiday
11:00-19:00
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白土舎での鋤柄ふくみさんの個展です。
入り口すぐの位置に展示された、DMに採用された作品。
黒の背景に女性の白い立ち姿。闇と煙の関係にも似た、天上から降るような重さと魂が昇っていくかのような気配感に気持ちが掴まれます。


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展覧会タイトルが「はだか」ということもあり、この系統の作品が並ぶイメージで伺ったのですが、肖像、人物像といった体の作品はこの1点のみ。ここから異様に重々しくおどろおどろしい幻想を醸し出し、そして独特の温度感を放つ作品が並んでいて、その思いもよらぬ雰囲気に驚かされます。


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主に自作のパステルを用いて描かれる、暗く濃密な世界。
ゆらりと揺らめくような空気感が、パステルを画面に押し付ける様子が生々しく伝わるかのようなマチエルから醸し出されているように感じられます。
作品によっては画面にメッシュが重ねられ、さらにその上に色が塗り込まれることでただでさえ濃い気配感がさらに深められていきます。

そして、作品のタイトルが、その画面のなかに描かれている要素を引き出してくれるような感じが面白いんです。
それぞれ「何」が描かれているかがタイトルに備えられた言葉によって意識がそれを捉え、ただ暗い気配のイメージだったのが,妙にコミカルに思えてくるから不思議です。


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パステルを用いていない作品。
粗いマチエルと深い青、赤、黒が広がる画面。そのところどころに服がプリントされ、ほぼそのかたちに切り取られた紙がコラージュされ、それがまた粗い感触をもたらしているように思えます。
その真ん中、ミシンを縫う女性と縫われる白い影。クラシックな風合いの黒のミシン、そのペダルを踏む裸足、淡々とした女性の表情。足の部分がひらひらと揺らめくような感じは空気の動きに対して無抵抗なイメージを思い起こさせ、床から浮き上がってやや意識を感じさせる手の仕草、横を向く頭の冷静さ、諦観。さまざまな要素が現れてきて、最初に観た時に届けられる深遠な気配こそ保たれるものの、そのなかでじわじわと賑やかになっていくのが面白いんです。


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さまざまな素材をコラージュふうに取り込んだ作品も多数展示、発表されています。
まず、何かの箱を流用した作品。


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さらに、さまざまな印刷物がそのシルエットにカットされたモチーフが執拗に貼り重ねられた作品。濃厚な混沌が生み出されているように感じられ、また印刷物のなかの色彩もシャープに立ち上がって届けられます。


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素材だけでなく、さまざまな要素が折り重ねられたドローイング風のコラージュ作品も、その不思議なバランス感が脆さと背中合わせの緊張感を醸し出し、その独特の雰囲気に引き込まれます。いろんなことが感覚的に継ぎ足されていって、何だか途中で終えたような感じ。何もないところと濃い密度のところの差異もけっこう大きくて、それが得難いダイナミズムを生み出しているようにも思えます。


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さらに、コラージュの基を単体でずらりと並べた壁面インスタレーションも。
多くは人物の画像や描いたものを切り取ったものが用いられていて、細く切られた脚の部分などのひょろりとした感じが儚く思えたり、またはやりこうやってひとつひとつを眺めても不思議な緊張感が感じられるのも興味深いです。上に紹介した油彩の作品に用いられているコラージュはおそらくこういったもののなかからピップアップされたのだろうと推測するのもまたイメージが広がって面白いんです。


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この他にも、ギャラリーの中央に置かれた台の上に、これまで制作されたコラージュやドローイングが多数展示されていて、さまざまなバランスで展開されている感覚的な展開と、重く深い暗さと飄々とした明るさとが交錯しているような不思議な世界観に、鋤柄さんのクリエイティビティの独特の懐の深さ、そしてバイタリティを感じさせてくれます。

初見で感じた「暗い絵」という印象は、もちろんある程度は保たれつつも、だんだんとそのなかにむしろポジティブなほうのイメージへと大きく広がっていく感じが嬉しく思えます。
もっと大きな作品などもぜひ拝見してみたい、今後の展開も楽しみな個性です。

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posted by makuuchi at 23:33| review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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