2011年05月10日

review:佐藤亮太『who is it wears the mask』《4/2》

review:佐藤亮太『who is it wears the mask』《4/2》

佐藤亮太『who is it wears the mask』
アルマスGALLERY
東京都江東区深川2-2-3
03-6412-8210
3/19(土)〜4/2(土)月休
12:00〜19:00
佐藤亮太110319.jpg

Ryota Sato "who is it wears the mask"
HARMAS GALLERY
2-2-3,Fukagawa,Koto-ku,Tokyo
03-6412-8210
3/19(Sat)-4/2(Sat) closed on Monday
12:00-19:00
Google translate



ひとつの画面に交錯するさまざまな線。
複数の層が硬質でアグレッシブな空間をそのなかに導き出し、シャープで動的なインパクトに溢れる世界が展開されます。


佐藤亮太_24.JPG 佐藤亮太_23.JPG 佐藤亮太_22.JPG

佐藤亮太_21.JPG



画面側面に垂れる絵の具の痕跡が下地の生々しさを表し、その「もの」としての濃厚な風合いを強くて維持しているようにも思えます。その下地にひたすらに重ねられるさまざまな線や色面。全像は混沌としていて危うささえ思い起こされますが、至近で眺めていくとそのひとつひとつは逆にエッジが立つ鮮烈さと鋭さを持ち合わせていることに気付かされ、そこからこの硬質な世界へと一気に誘われていきます。


佐藤亮太_20.JPG



さまざまなかたちでの展示が空間にもリズムを生み、それが展開される世界観にも作用していっそうホットでクールな雰囲気となって包み込んできます。線の上に重ねられる色面によって、その線の輪郭のみが色面のなかから浮かび上がる様子など、画面上に構築される細微な立体感にも魅せられます。


佐藤亮太_19.JPG 佐藤亮太_18.JPG 佐藤亮太_17.JPG

佐藤亮太_16.JPG 佐藤亮太_15.JPG 佐藤亮太_14.JPG

佐藤亮太_13.JPG 佐藤亮太_12.JPG 佐藤亮太_11.JPG

佐藤亮太_10.JPG



色彩のチョイスのバリエーションも、それぞれの作品に独特の味わいをもたらします。
個人的には薄い色面にくっきりとした線が展開される作品がその世界のクールさをもっとも鮮やかに引き出しているように感じられた次第。シャープな線の輪郭がさまざまな色彩で描き出され、生み出される表情は混沌としていながらもむしろそこに洗練された風合いすら感じられ、そのクールさに引き込まれます。


佐藤亮太_09.JPG 佐藤亮太_08.JPG 佐藤亮太_07.JPG

佐藤亮太_06.JPG 佐藤亮太_05.JPG 佐藤亮太_04.JPG

佐藤亮太_03.JPG



大判の作品ではシルバーが大胆に用いられ、ひときわ硬質な雰囲気が導き出されていた次第。最も手前の表層に広がる金属的な光沢がさまざまな表情を覆い隠し、アバンギャルドなブリリアントさの奥底に魑魅魍魎としたシャープな混沌が蠢いているようなイメージが興味深く思えます。


佐藤亮太_02.JPG



線の鋭さ、鮮やかさはむしろ無機的なほどでありながら、重なる色やかたちなどには感覚的な有機性が溢れ、それがこの世界の独創性へと昇華しているような印象です。
さまざまな実験がそれぞれの作品で繰り広げられているような感じもあり、そこからの発見でさらに整理されコントロールされた混沌が生み出されるとしたら、そのクールネスは尋常でないはず、という期待感も高まります。


佐藤亮太_01.JPG
posted by makuuchi at 08:43| review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

review:小橋陽介展「自画持参」《4/2》

review:小橋陽介展「自画持参」《4/2》

小橋陽介展「自画持参」
NADiff Gallery
東京都渋谷区恵比寿1-18-4-B1F
03-3446-4977
3/24(木)〜4/24(日)月休
12:00〜20:00
小橋陽介110324.jpeg

Yosuke Kobashi; jiga-jisan
NADiff Gallery
1-18-4-B1F,Ebisu,Shibuya-ku,Tokyo
03-3446-4977
3/24(Thu)-4/24(Sun) closed on Monday
12:00-20:00
Google translate



とりあえずどーん!
どんなシチュエーションか分からないんですけど後ろのマス目がとりあえずゴールネットだとしてそのマス目が比較的小さい感じがするからサッカーというよりはハンドボールのゴールネットなのかなということにしておいて倒れ込みシュートを観光すべくゴール前に飛び込んだらリンゴ纏ったキーパーがひょーいって感じで横っ飛びで漂ってきてそれに絶句してシュートできずにそのまま倒れ込む的なイメージがどーん!


小橋陽介_42.JPG



・・・状況説明長ぇよ俺...


もとい、NADiff地下のコンパクトなスペースにいっぱいに溢れる小橋陽介さんの世界。タイトルも「自画自賛」ならぬ「自画『持参』」となかなかにユーモアが効いていて出ていていい感じ、そして何よりそのバイタリティがこの空間に遺憾なく発揮されていてなんとも賑々しい痛快な世界が作り上げられていたのが強く印象に残っています。

お馴染みの自画像はもちろん、自身が登場しない新展開の作品も組み込み、さらにその世界の拡張が試みられていたのも興味深く思えました。


小橋陽介_41.JPG

小橋陽介_40.JPG



壁面いっぱいのサイズの大作。これが圧巻。
境内に自画像をふんだんに画面に登場させ、それぞれがとにかくキッチュでシュールな仕草を繰り広げて生み出されるどうしようもなくコミカルなカオス。そもそも人の背の高さほどの巨大なフランスパンを抱えて堂々と立つ姿の何故にそんなに圧倒的なの、とか、右側に大きく描かれる仏閣の線描の律儀さからこみ上げてくる可笑しみとか、一方でそこかしこに挿入される赤系統の強い色彩のエネルギッシュな感触とか、いろんな要素が天真爛漫に描き重ねられて作り上げられる情景は空間の圧迫感も相まってその独特の雰囲気がいっそう濃厚に凝縮され、ひたすらに高揚感を煽ってきます。


小橋陽介_39.JPG 小橋陽介_38.JPG 小橋陽介_37.JPG 小橋陽介_36.JPG

小橋陽介_35.JPG 小橋陽介_34.JPG 小橋陽介_33.JPG 小橋陽介_32.JPG

小橋陽介_31.JPG



一転、海と空とがひとつの空間に重なったような世界。
沈む青がしっとりとした重厚な静謐をそこに漂わせ、暗い情景がひと味違う気配を届けます。


小橋陽介_30.JPG 小橋陽介_29.JPG 小橋陽介_28.JPG 小橋陽介_27.JPG

小橋陽介_26.JPG



ひとつの壁面に所狭しと飾られる作品群、そのバラエティのさらなる豊かさにあらためて感じ入る次第。さまざまな色彩がひとつの視界に溢れるさまはなんとも痛快です。


小橋陽介_25.JPG 小橋陽介_24.JPG 小橋陽介_23.JPG

小橋陽介_22.JPG



そんななかで、馬をモチーフにした作品が比較的多く発表されていたのも興味深く感じられた次第です。
活き活きとした筆さばきで描かれる馬の姿は精悍、大胆な配色と構図がもとより持ち合わせるキッチュさを保たせ、新たなテイストとともにユニークさも押し拡げられます。


小橋陽介_21.JPG 小橋陽介_20.JPG 小橋陽介_19.JPG 小橋陽介_18.JPG

小橋陽介_17.JPG



これまで自画像で展開されてきたように、ひとつの画面にたくさんの馬の姿を描いた作品も。その賑々しさはモチーフが変わっても痛快極まりなく。さらにダイナミックな動きに満ちた情景となって迫って、ユーモアもキレを保持しながらおおらかに繰り広げられているように思えます。


小橋陽介_16.JPG 小橋陽介_15.JPG 小橋陽介_14.JPG

小橋陽介_13.JPG 小橋陽介_12.JPG 小橋陽介_11.JPG

小橋陽介_10.JPG



さらに、船舶を描いた作品も興味深いです。
帆船の壮観な勇士が臨場感たっぷりに描かれその格好良さがしっかりと表現されていることにもおおいに感じ入ります。


小橋陽介_09.JPG 小橋陽介_08.JPG

小橋陽介_07.JPG



その帆船と自画像とが重なると、一気にシュールさも加速。
どっしりと船舶に乗られてどう考えても穏やかならぬ状況なれど、コミカルな雰囲気がむしろ強く醸し出され、妙に安穏とした表情もあって不思議と長閑な雰囲気が奏でられます。


小橋陽介_06.JPG 小橋陽介_05.JPG 小橋陽介_04.JPG 小橋陽介_03.JPG

小橋陽介_02.JPG



これまでストイックなほどに連綿と継続して繰り広げられてきた自画像による展開で作り上げられた世界観は、今回の個展で多く発表された自画像が登場しない作品でもしっかりと受け継がれ、またそのアプローチの広がりがそのまま世界観も押し拡げているように思えます。
さまざまなモチーフがいろんなかたちで画面に登場してこれからもいっそうダイナミックにその物語が紡がれていくように感じられて、ワクワクする気持ちも膨らみます。


小橋陽介_01.JPG
posted by makuuchi at 07:48| review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。