2011年05月22日

review:樋口明宏 見立て《5/12》

review:樋口明宏 見立て《5/12》

樋口明宏 見立て
MA2Gallery
東京都渋谷区恵比寿3-3-8
03-3444-1133
4/23(土)〜5/22(日)月火祝休
12:00〜19:00
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Akihiro Higuchi "MITATE"
MA2Gallery
3-3-8,Ebisu,Shibuya-ku,Tokyo
03-3444-1133
4/23(Sat)-5/22(Sun) closed on Monday,Tuesday and national holiday
12:00-19:00
Google translate



まず挨拶代わりにお馴染みの蝶の羽根を支持体に細やかに、かわいらしいキャラクターが描くかれた作品。箱形の額に収められて標本風の感じが演出され、このクリエイションのユーモアがしっかりと前面に押し出されます。
蝶の羽根の脆さともとよりの柄の妖しい美しさはモチーフのポップな色彩と仕草や表情のかわいらしさと相当なギャップを生み、作品のモノとしてのスリリングさも醸し出します。


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ここから「見立て」の作品。
さまざまなものが何かに見える、およそそういう至極シンプルなイメージを実際に再現するという展開がそれこそ豊かなバラエティで繰り広げられ、そこにもたらされるユーモアも力強く、そして深みを伴って迫ってきます。
ちょうど四肢が地面を支えるようなかたちの骨、それにヒョウ柄が施されて動物のような感じが生み出されます。やや強引なモチーフへの落とし込みが独特の味わいをそのユーモアのなかから奏でるように思えます。


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ウルトラマンの怪獣、ヒッポリト星人に見えた、というところからもうそのままの配色が施された作品、じっと眺めているとだんだん、案外かわいく感じられてくるから不思議だったり。。。


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再構築された哺乳類の頭部の骨格。ユーモアが醸し出る作品群が多いなかで、この格好良さは際立ちます。階段の手前に設置された棚の上に置かれ、くすんだ白が奏でる危ういクールさに魅せられます。


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階段を昇りきったところには、マネキンの手の部分が座禅の組み手のように配され、自然光がたっぷりと入って明るい印象の1階の雰囲気から一転し、深遠な気配へと誘います。手首のネジ部分やほとんどが剥落してわずかに残る白の塗料などもいっそうの深みを醸し出すことに作用しているように思えます。


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恭しく台の上に置かれたスポンジ。壮大で荘厳な雰囲気は行われたアプローチのユーモアさえも霧散させてしまっているように感じられるほど。


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そして今回の展示でその存在感を際立たせる2点の作品。階段の側から向かってまず手前の棚に配置される並んだ3体の像、それぞれに注がれているはずの宗教観を超越して異様なほどの重厚な深遠さが迫ります。繋げられた手にさまざまな想いがよぎりつつ、しかしどうしても浮かび上がってしまうメッセージ性とは裏腹に飄々とした感触もかろやかに立ちのぼっているように感じられるのも印象深いです。


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さらに広いガラス張りの部分を背に配された彫像、これがとにかく凄いです。。。
どっしりと菩薩の頭部がまず据え置かれ、その頭頂部に阿修羅風にいくつものさまざまな頭が環状に並び、さらに最頭頂部には自由の女神が。やや古びた木の質感も相まって、とてつもなくユーモアが振り切っている展開であるにもかかわらず、ひたすらに重く神々しく静かに佇んでいる様子に感じ入ります。伺った時間が日が高く、背面から注がれる陽の光は見ようによっては後光のようにも思え、しかしそうだったとしてそれが相当に日常的な風景とともに届けられていることも、その深みに魅せられつつもどこか微笑ましい感じで満たされてもいきます。


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用いられるものそれぞれはその実体の質感を失わず、そのことでユーモアを比較的分かりやすく表出させ、一方でその本質をぐっとねじ曲げるアプローチの大胆さと力強さにも唸らされる次第です。


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posted by makuuchi at 12:26| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年05月21日

review:福田真規「向こう側のスクリーン」《5/14》

review:福田真規「向こう側のスクリーン」《5/14》

福田真規「向こう側のスクリーン」
YOKOI FINE ART
東京都港区東麻布1-4-3 木内第二ビル6F
03-6276-0603
4/22(金)〜5/21(土)日月祝休
11:00〜19:00
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Maki Fukuda "screen on the other side"
YOKOI FINE ART
1-4-3-6F,Higashi-Azabu,Minato-ku,Tokyo
03-6276-0603
4/22(Fri)-5/21(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday
11:00-19:00
Google translate



前回の個展も印象的だった福田真規さん。静かな室内を丁寧な描写と巧みな陰影で描き、その空間にひっそりと置かれるデッキチェアなどから漂う残り香がそこに横たわっている悠久の時間のイメージをスムーズに思い起こさせてくれたのですが、今回の個展では全体的な色調こそこれまでの世界観を引き継ぎながらも、眼前に現れる場所は空虚さが淡々と表されている感じで、一旦立ち止まらされた次第。


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画面と対峙している時点で絵のなかの世界にいるとしたら、自分が立っている場所にはむしろ何もない、前回の個展ではあったあたたかな残り香さえもいっそう希薄になってしまっている感覚に包まれます。肌で感じたいぬくもりが遠くなり、淋しさが募っていって、しかしどこへ向かえば良いのか分からないような印象。それでもじっくりとその空間と対峙していると、例えば窓の向こうに建つアパルトメントの窓から覗く暗い部屋、ここから遠い、遮られて見えない場所に人の気配が灯っているようなイメージが静かに湧いてきます。


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開けっ放しの扉。すうっと吸い込まれるような気配が眼前にあって、見える場所には何もなくて、しかし影になって見えない場所に誰かがいるような...。じっくりと絵のなかの空間に身を投じて淀んでもいるような時間の流れに淡々と想像を委ねていると、過ぎ行く時間の向こうに物語がちゃんとあるようなイメージがゆっくりともたらされます。


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カーテン越しに眺める窓の外。その向こうに聳えるマンション、ひとつの部屋だけではなくその建物のなかに灯る数々の営みが、ひとつひとつは小さくてもふわりと灯る明かりの群れになって観る側の脳裏を満たしていくような感じがしてきます。自身がいる場所よりも、さまざまに幾重にも遮られて直接は見えない場所へと想いが向かっていくんです。


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奥のスペースにも同様に淡々とした気配がそれぞれの作品から奏でられます。
作品のサイズの如何を問わず、ただひたすら、視点を置いている自身が立つ場所からは静かに孤独感が届けられ、そして遠い見えない場所に馳せる想いがその作品の物語性を豊かにしてくれます。


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ほぼ全ての作品で、直接は見えないまでも何かしらのかたちでその場所へとどこか繋がっていて気配が通じる印象があるのですが、こちらの扉ががっしりと閉じられた作品の重厚で残酷なほどの遮断との対峙は、いっそうの想像の逞しさを導いてくれます。完全に見えないからこそ、自身が居る空間に時間の流れもひたすらに重くて、しかしそこから感じ取れるスリリングさ、緊張感はいっそう強いものにも思えてきます。


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おそらくはウォームな雰囲気を出そうと思えば直接提示する空間にアンティークな何かを配するだけで充分に演出でき得るような印象なのですが、敢えてそれをせず、遠い場所に気配を潜ませることで鑑賞者側に更なる深みをもたらすように感じられます。ほぼモノトーンに近い印象の暗くて静かな気配がそれぞれの作品から漂い、展示スペースをひっそりとした雰囲気で満たしながら、それらによって紡がれる世界観の表現においては相当にチャレンジングなことが行われているように思え、感じ入る次第です。


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posted by makuuchi at 06:54| review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年05月20日

review:久保俊太郎展覧会「畜生道」《4/28》

review:久保俊太郎展覧会「畜生道」《4/28》

久保俊太郎展覧会「畜生道」
GALLERY TERRA TOKYO
東京都千代田区岩本町2-6-12 曙ビル1F
03-5829-6206
4/23(土)〜5/21(土)日月祝休
11:00〜19:00
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Shuntaro Kubo "Chikusho-do"
GALLERY TERRA TOKYO
東京都千代田区岩本町2-6-12-1F,
03-5829-6206
4/23(Sat)-5/21(Sat) closed on Sunday,Monday,national holiday and 3/28-4/4
11:00-19:00
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「畜生道」。
展覧会のタイトルに据えられたおそらくは久保さんのオリジナルのこの言葉が、久保さんが作り上げる世界を実にストレートに表しています。
さまざまなサイズの作品で繰り広げられるシュールでグロテスクなユーモア。巧みな筆致でそのひとつひとつのモチーフが丁寧に描かれていることで、登場するキャラクターの存在感はくっきりとした輪郭を放ち、展開される物語に鋭利さ、尖った感触をもたらします。

3点の画面を配してひとつの場面がダイナミックに構築された組み作品。
画面の位置関係がそのまま場面にダイレクトに関わっていてそこから醸し出される面白みにも感じ入りつつ、淀んだ緑という風合いの何とも不思議な色調のなかで繰り広げられる絵巻的な物語の場面のそれぞれに引き込まれ、いやもう何というかどれくらいの感じの距離で接すれば良いか正直なところ分からなかったりもするんですけど(結構絶句寸前のグロさだったりもするもので・・・)、その取り留めのない物語性に一体どうなってどうなるんだろうなどという想像も膨らんでいきます。


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スクエアの画面を菱形に展示した作品、その情景の天地の感覚のズレがそれによってさらに強調されます。ひとつの四角のなかで繰り広げられる場面はこちらも負けず相当にシュール、ほぼ真ん中を横切る地底を挟むふたつの陸地、そこかしこで例によって意志を持った人間の手と小動物たちの戦が繰り広げられていて、その特な活き活きとした感触に何とも不思議なイメージに満たされます。生物の動きの力強さを、そこに咲く菫の花の可憐さ、ほのほのと淡い色彩が繊細な緊張感で静かにやわらかく彩っている風合いにも感じ入ります。


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一部光沢のある素材がコラージュ風に用いられているのが印象的な作品。日本画の画材によるマッドな仕上がりがしっとりとした風合いを醸し出すなか、そのブリリアントさが際立ち、部分としては小さいながらもアクセントとして充分にその機能を果たしているように思えます。


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前回の個展でも発表されていた、ひとつの画面に整然とほぼ同じパターンのキャラクターを並べて描かれた小品も。それぞれの画面で展開されるバリエーションに久保さんの巧みな筆さばきが遺憾なく発揮され、ひときわ淡々とした雰囲気が横たわるなかにさまざまな見所が潜んでいるように思えます。動物たちの有機的な感じは相当にリアルに描写され、一方で纏う鎧や持つ武具はむしろ稜線がくっきりと強調されて、ポップな雰囲気も奏でられます。


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なんとも不思議な雰囲気が空間に充満しています。
日本画出身らしい描写の巧みさは描かれる情景に鋭さをもたらし、グロテスクな手の生物と武具を纏う動物たちそれぞれのどこか感情を失せているような仕草や表情がその緻密な描写によってむしろ存分に引き出され、何だか見えない力に動かされている世界がそこに引き起こされているようなイメージが届けられるように思えます。


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posted by makuuchi at 05:54| review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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