2011年04月26日

review:花澤武夫 新作展 "Forgotten Stories"《4/1、4/14》

review:花澤武夫 新作展 "Forgotten Stories"《4/1、4/14》

花澤武夫 新作展 "Forgotten Stories"
GALLERY SIDE2
東京都港区東麻布2-6-5
03-6229-3669
4/1(金)〜4/29(金)日月祝休
11:00〜19:00
花澤武夫110401.jpeg

Takeo Hanazawa "Forgotten Stories"
GALLERY SIDE2
2-6-5,Higashi-Azabu,Minato-ku,Tokyo
03-6229-3669
4/1(Fri)-4/29(Fri) closed on Sunday,Monday,national holiday and 12/28-1/4
11:00-19:00
Google translate



ユーモアと知性とが絶妙の案配で仕組まれ、仕込まれていく花澤武夫さんのペインティング。
モチーフや色彩のチョイスなどにさまざまな遊びが感じられ、加えて独特のエキゾチシズムを感じさせてくれる世界観が展開されるのがとにかく印象深く、その都度漂い来る気配に感じ入り、対峙して得られるイメージに浸り、その情景へと配し込んでいくのが楽しいです。

これまで拝見した個展ではひとつの空間にさまざまなテンションが入り込み、そのバリエーションが痛快な戸惑いを届けてくれたのですが、今回はこれまでと比較すると空間全体にもたらされる統一感がやや強め、まとまりが感じ取れるのが意外にも思えるのと同時に新鮮で、また新たな花澤さんの一面を垣間見られ、そしてその懐の深さにあらためて唸らされるような感じです。


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とはいえ、チョイスされるモチーフの多彩さは保たれていて、さらにアプローチのバリエーションもある意味実験的とも思えるほどに幅広く豊かに繰り出されています。
黒く切り取られる髑髏を彷彿させるシルエット、その内側は表情を感じさせてくれるのと同時に左右対称のパターンがエキゾチックな雰囲気を醸し出し、奇妙な温度を伴う不思議な生死感が、しかも飄々とそこに収められているように思えます。全体の左右対称の構成のなかに、目を彷彿させるモチーフが左右異なるのがコミカルだったりもします。


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紫煙、というよりエクトプラズムを吐くブーツィー・コリンズ。
80'sファンクへの憧憬をそこに表明しつつ、どこか穏やかで緩い雰囲気が醸し出されているのが楽しいです。
背景の緑とブーツィーの纏うイエローの派手なジャケット、さらにハットや肌のやや赤らんだ色彩とのコントラストも鮮やかで、互いにやさしい風合いを引き出し合っています。


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VOCA展に出品された作品でもダイナミックに展開されていた、磁器の紋様を丁寧に描き、それをタイルの壁面として表現した作品も。
花澤さんの作品としては斬新なほどに新鮮に感じられる青が印象的で、その色調はすこぶる爽快な印象を届けます。
そして、それぞれのパターンの律儀さに感じ入り、一方で異なる紋様が画面のなかで金継ぎがなされているあたりのユーモアもまた楽しげで、軽快にも思えます。


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向かい合うようにして展示された2点のタイルの壁面を描いた作品、それぞれに金継ぎで異なるパターンが展開されていたりするあたりは共通しているものの、継がれる部分の激しさの差異がそこにアグレッシブさの度合いとして現れ、さらに地面が一方は均され、もう一方は荒れていて、それもまた微妙に画面から醸し出される雰囲気に作用して、いっそうユニークな展開として小気味よく届けられます。


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ほぼ同時期の制作と思われるVOCAの作品も同じ展示と捉えられなくもなく、それもまた興味深いのですが、とりあえずは今回のこの個展でもっとも大きなサイズの作品がこちら。
新たな展開が繰り広げられるのとともに、花澤さんの真骨頂がここに力強く備わります。
失念してしまったのですがとある建築家の建造物へのリスペクトをもってチョイスされたシチュエーション、鮮やかな色彩の壁面がひとつの視界のなかにおさめられ、それぞれの色が持つ力がストレートに放たれ、まずその鮮烈さに魅せられます。しかも壁面として描かれる部分は実際にその質感も再現されていて、描かれる空間の臨場感もそこからしっかりと感じ取れます。
情景はおそらくある程度のリアリティの再現がなされていると思われ、それが地面にぼこぼこと雑然と、まるで石が落ちているかのようにある髑髏が異様な、しかしむしろコミカルな気配となって飄々とした雰囲気を醸し出します。かたちのグロテスクさと意表を突く色彩がなんともユーモラスなシュールさを立ちのぼらせます。
そして、何といっても構図の安定感におおいに唸らされます。画面に配される図形はすべての辺が垂直、水平に施され、相当に硬質で幾何学的な構造をもっていながら、しっかりとそこに奥行きが生み出され、また髑髏や雑草の配置とともに画面右上からあ湧くように生える鮮やかなピンクの花を咲かせる植物がほどよい緊張感を生み出します。
さまざまな要素が程よい過剰さで織り込まれていることに軽快さと深遠さの両方を感じます。


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展示全体として明るく鮮やかな色彩がふんだんに用いられているのが、ポジティブな雰囲気を空間にもたらしています。その軽やかさ、大胆な色彩のチョイスを導き出す軽妙さが、ひとつひとつの作品との対峙とともにこの空間にいることで肌で体感する気配に新鮮な感覚を覚えるのかも、とも思う次第です。


花澤武夫_01.JPG
posted by makuuchi at 08:18| review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

review:荒木由香里展「CONSTELLATION」《3/19》

review:荒木由香里展「CONSTELLATION」《3/19》

荒木由香里展「CONSTELLATION」
studio J
大阪府大阪市西区新町3-14-8
06-6110-8508
3/19(土)〜4/30(土)日月火休
13:00〜19:00
荒木由香里110319.jpg

Yukari Araki "CONSTELLATION"
studio J
3-14-8,Shinmachi,Nisi-ku,Osaka-shi,Osaka-fu
06-6110-8508
3/19(Sat)-4/30(Sat) closed on Sunday,Monday and Tuesday
13:00-19:00
Google translate



身の回りのもの、あるいはどこかから見つけてきた、人が使った残り香を仄かに立ちのぼらせるものを合わせていって作り上げられるさまざまなオブジェ。
本来の用途から荒木さんの手によって別の命が宿され、そしてもともとの素材ひとつひとつに備わっていた気配がその行為によって融合し、さらに不思議な気配へと昇華され、艶かしい緊張感を醸し出します。

DMにも採用されている、赤いものをくっつけてひとつの塊にした作品。天井から吊るされて展示され、ひときわ異様な存在感でその空間に漂います。
至近で眺めるとそこにある赤の種類も実に豊かでさまざまな表情を見せるのですが、ひとつの造形として捕らえたときに虚空で起きている爆発のような、そこから凄まじいエネルギーが放出されているような激しいイメージも浮かんできたり、はたまた赤という色彩が持つ妖しい色香がゆらゆらと静かに意識にまとわりつくように包み込んでくる感覚も思い起こされます。


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壁に配された小さな棚、そのひとつひとつに置かれるコンパクト。化粧道具として用いられたであろうそれぞれの造形のもとよりの可憐さが、そのなかに何かが置かれることで繊細な空間として起動し、そこで淡々と静かに物語が紡がれていきます。


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それぞれシンプルな構成でありながら、用いられる要素の洒脱さや高貴さがその小さな空間のなかでしっかりとした響きを生み、いろんな時空へと意識を誘ってくれるようです。


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3足のヒールを用いたインスタレーションも、独特の艶かしさを醸し出しています。
壁に掛けられるようにして設置されたそれぞれのヒールのかたち自体の洗練と、そのつま先の側から何やら湧くようにして現れる白いもの。あたかもその流麗な気配の奥に異次元が存在しているかのような妖しい雰囲気が提示され、またそれぞれが長い紐で繋げられているのもこの3足のヒールから湧く世界が通じ合っているような印象を届けてくれているようにも思えます。


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しずしずと賑々しく展開される丸テーブルの上。
どこか遊び心も感じられるさまざまな小品が置かれ、何となくそこに「不思議の国」が作り上げられているように思えてきます。


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用いられる素材が生命を宿したものを象っていることも、その作品それぞれに魂の存在を思い起こさせてくれます。


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コンパクトな三面鏡、そのそれぞれに広がる空間から感じ取る壮大な虚空に想いを馳せて遠い気分に満たされたりも。。。


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古びた写真画像を額装し、その顔の部分を切り取って際どい気配と危うい雰囲気を醸し出す作品群。その異様さは、今回の展示全体にも暗い緊張感として作用し、このシュールな行為は無垢な狂気をその裏側に潜ませているような印象を届け、他の作品へも影響し、さらにそのイメージを深めさせてくれます。


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用いられる素材や要素の形状がほぼ保たれたままで構成されていくことを思うと、それぞれの作品で繰り広げられる行為そのものの純度が際立って、狂気と紙一重の感覚的な無垢な衝動がそのひとつひとつの背景にあるように感じられて、想像の物語を作っていくようなどこか楽しげな雰囲気とともに危ういスリリングな感触も紡がれている感じがします。
ひとつひとつの作品が濃密な気配を宿していていろんなイメージの世界へと誘ってくれます。ひとつの空間を展開していったとき、どれほどの濃厚な気配が生み出されるか、どんな感じになるだろうという想像も湧いてきます。


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posted by makuuchi at 07:03| review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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