2011年04月25日

review:Kodama Gallery Project 27 杉本圭助「rules」《3/19》

review:Kodama Gallery Project 27 杉本圭助「rules」《3/19》

Kodama Gallery Project 27 杉本圭助「rules」
児玉画廊|京都
京都府京都市南区東九条柳下町67-2
075-693-4075
2/26(土)〜4/2(土)日月祝休
11:00〜19:00
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Kodama Gallery Project 27 Keisuke Sugimoto "rules"
Kodama Gallery,Kyoto
67-2,Higashi-Kujo-Yanaginoshita-cho,Minami-ku, Kyoto-shi,Kyoto-fu
075-693-4075
2/26(Sat)-4/2(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday
11:00-19:00
Google translate



東京でのグループ展でひとあし先に拝見し、そのとき初めて接する杉本圭助さんの作品の素材の用い方の直接的な感じと、そこにもたらされる要素の多さになんとも不思議な感覚が浮かんできたのですが、それから間を置かずに拝見した個展ではさらに多彩なメディアと空間性が展開され、そのバリエーションの広さが更なる謎めきを届け、そしてそれぞれに異なるテンション感にもまたさまざまな想像が深まっていったように思えます。

帰結点へと彷徨うイマジネーション。
思い浮かぶ感覚に時に愚直なまでに素直に、はたまたそこにさまざまなユーモアや捻りを加えたりもして、なんとも歪んだ気配の痛快さをそこにもたらしているような感じが心に残っています。

まずは軽く、といった感じがその世界への導入として何となくありがたく思えた小品のドローイング。謎めくモチーフが描かれ、ドローイングらしい軽い仕上がりでありながらそこに現れる情景は不思議な深みとスケール感を備えています。


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ねじれる絵の具の塊が画面に配された作品、黄色の支持体に乗る絵の具の色彩と質感はひときわ強く、しかし小気味よさを失わずにその存在をそれぞれに際立たせ、どこかコミカルな混沌が生み出されているように思えます。


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律儀に整然とセルが手描きで描かれ、そこにピンらしきもので穴があけられた作品、行為の奇妙さがこのかわいげのある風合いから濃く届けられます。


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空間中央の穴の部分を香緒子無用にして展開されているインスタレーションも異様な謎めきを醸し出します。


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回転する木の棒と黒い丸型のプレート。単純な構造が逆に謎めきを加速させ、機械で淡々と回る動きの無機質さも奇妙に感じられます。


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床面にはたくさんの円形のシートが。それぞれに初日のパフォーマンスで行われというドローイングがうっすらと乗り、揺れる脆弱な線が狂気と紙一重の危うげな雰囲気を醸し出します。


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くっきりとした色彩が際立つ大振りの作品も。
巨大な色面から放たれる鮮やかな色彩はエネルギーに満ち、しかし抽象的なかたちがくっきりとした輪郭とは裏腹に、もとい、ダイレクトにその存在を捕らえ得るからこそ何とも異様な存在感をそれぞれが放ちます。
黄色の立体的な展開も、赤と青の作品の背景部分に敷き詰められる有機的で抽象的な白い線の描写も、どこか愚直な風合いを強めているように思えます。


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統一された色彩によるコラージュ作品をひとつの壁面部分に纏めて展示されたインスタレーションも。
うっすらと透過する紙の繊細で儚げな気配、それらの円形の安定したかたちと一方有機的でありながら動きに満ちる赤い色のかたち、それらがひとつの黄色の支持体に乗って色彩感を際立たせ、どこかコミカルな雰囲気がゆるゆると紡ぎ出されているように思えます。


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さまざまなクリエイションが、おそらくは感覚に従うままに展開され、それぞれにいわゆる確信を敢えて薄い状態で据え置いて、思い思いに身体を動かして「さて何が生まれるか」とその結果を行為にゆだねている感触が不思議な気配をそこに生み出しているように思えます。これほどのバリエーションで展開された世界がそれぞれに深まり、強い輪郭を獲得していったときにどれほどの強度で迫ってくるかも興味がわいてきます。


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posted by makuuchi at 07:11| review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

review:福重明子展「Goahti(ゴアティ)」《3/19》

review:福重明子展「Goahti(ゴアティ)」《3/19》

福重明子展「Goahti(ゴアティ)」
The Third Gallery Aya
大阪府大阪市西区江戸堀1-8-24 若狭ビル2F
06-6445-3557
3/1(火)〜3/19(土)日月休
12:00〜19:00(土:〜17:00)
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Akiko Fukushige exhibition "Goahti"
The Third Gallery Aya
1-8-24-2F,Edobori,Nishi-ku,Osaka-shi,Osaka-fu
06-6445-3557
3/1(Tue)-3/19(Sat) closed on Sunday and Monday
12:00-19:00(Sat:-17:00)
Google translate



シルクスクリーンプリントで重ね刷られる細やかなレース模様、さらにそこにペンによってさまざまな紋様が描き込まれて、ほんのりと幻想的でおおらかな情景がそこに現れます。


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軽やかな色彩で刷られる版の部分は遠目では淡い色彩の広がりとなり、仄かさ、曖昧さが強い輪郭の黒の線の密集の向こう側、遠くにふわりと浮かんで漂うような気配がもたらされているようにも思えます。それらを至近で眺めると、隠れていた細かいパターンが浮かび出てきて、画面の奥行き感、2次元に収まらない複雑なレイヤー感がもたらされます。


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比較的薄く淡い色彩を背景にした作品が多くを占めていたなかで、画面のほぼ全面を黒い描写で埋め尽くされた作品がひときわ重い気配を醸し出していたのもいm賞に残っています。
さまざまなパターンが執拗に描き込まれ、それらは一度のストロークですべてを埋め尽くしてしまうような大胆で粗い黒の広がりのなかに紛れ、遠目でひときわ濃く深い黒の面となって重く漂い、至近で眺めてそこに緻密な描写が確認されることでさらに意識がその密度に呑まれていくようにも思えます。


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額とマットを駆使してさまざまな構図を構造的に展開する作品も楽しいです。
大小の窓にそれぞれ収まる情景は、密度は互いに大きな差はないものの、縮尺が異なって提示されているようにも思えて、その関係性が時空の流れ、行き来のイメージをもたらしてくれます。


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3枚の画面を連ねて展開される大作は圧巻です。
細かいストロークがひたすら紡がれてさまざまな情景がそこに描き出され、それらが醸し出すスケール感のおおらかさ、ダイナミズムにも感じ入ると同時に、その細かい描写とは裏腹にどこか水墨画を彷彿させる儚げな感触もそこから奏でられているようにも思えて、ふわりとやさしく繊細に膨らむ気配に魅せられます。


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大判の版作品も、いくつもの色彩が刷られることでそれらが繊細な衝突を生み、それぞれの色で展開されるレースのような細やかなモチーフがひとつの情景を彷彿させて、それが色の数だけひとつの画面におさめられていることが何とも不思議な世界となって包みこむように迫ってきます。レース模様はそれぞれ緻密でありながらも、ある意味飄々としたスタンスで重ねられることでそこに描かれる情景の輪郭がむしろ際立ち、全体を眺めたときの特に淡い色彩の曖昧さと響き合って澄んだ気配が導き出されているように思えます。


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ノルウェーに滞在されたときの体験からインスパイアされて制作された情景群、特にペンによる線描の部分など、細やかな表現に立ち上がる鋭いエッジが空気の冷たさ、肌に刺さるような張りつめた感覚を思い起こさせ、また淡い色彩はどこか幻想的なイメージがそこから感じ取れて、福重さんの作品世界を通じて見知らぬ場所への憧憬も深まるように思えます。やさしさと緊張感の案配が絶妙な作品群です。


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posted by makuuchi at 06:19| review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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