2011年04月16日

review:『ν romanver』上田尚宏/加茂昂/木村泰平/須賀悠介《3/26、3/30》

review:『ν romanver』上田尚宏/加茂昂/木村泰平/須賀悠介《3/26、3/30》

『ν romanver』上田尚宏/加茂昂/木村泰平/須賀悠介
island MEDIUM
東京都千代田区外神田6-11-14 3331 Arts Chiyoda 205
03-5812-4945
3/26(土)〜4/17(日)月火休
12:00〜19:00
ニューロマンサー110326.jpg

"ν romanver" Takahiro Ueda/Akira Kamo/Taihei Kimura/SORGANIZER
island MEDIUM
6-11-14-205,Soto-Kanda,Chiyoda-ku,Tokyo
03-5812-4945
3/26(Sat)-4/17(Sun) closed on Monday and Tuesday
12:00-19:00
Google translate



須賀悠介のキュレーションによるグループショー、僕の個人的なツボをしっかりと抑えられた感じが嬉しくて痛快で・・・!
それぞれに配された作品のクールさとホットさとの混在が醸し出すフューチャリスティックな気配にぐんぐんと呑み込まれていく空間が構築されています。


上田尚宏さんの作品、何やら物々しい機器類がずらりと並べ置かれていて、いったいなんだろうこれは、と。。。
右にあるアンテナで実際に電波で発信されている情報を受信しそれをパソコンに取り込んでリアルタイムでその画像にエフェクトをかけてさまざまな歪みを生んでいく、という本来はパフォーマンスも含めての作品とのこと。パソコンのモニターにはその様子が映し出されていて、何となくどういう感じで繰り広げられるかかが伝わってきます。


上田尚宏_07.JPG



その画像のキャプチャーが4枚、並べて展示されていて、その無機的で緻密な光景に一気に魅せられます。
日本の天気概況を捕らえた映像が取り込まれ、そこに被さって交錯するさまざまな線、一様に無機的で、数値化されデータとなった日本列島が電気的な圧力をかけられてざらついた歪みが放つ冷徹で熱いエネルギーが想像力を刺激してきます。
全て黒と白のトーンで表出していることも、ソリッドさを際立たせます。


上田尚宏_06.JPG 上田尚宏_05.JPG

上田尚宏_04.JPG 上田尚宏_03.JPG

上田尚宏_02.JPG



合わせて小さなモニターで映像も。
ひたすら変化していく画像に食い入るように見入ってしまいます。


上田尚宏_01.JPG



柏で開催されたグループ展で拝見し、そのヴィヴィッドな造形が強烈なインパクトを放っていた作品が忘れ難い木村泰平さん。そのときは一体成形の像だったのですが、今回は関節ごとに分けてパーツが作られ、それを組み上げた実物大の人物像が、マリオネットよろしく組まれた足場に吊るされて展示されていて、台上に設置されたときとはまた異なる危うさを醸し出しています。


木村泰平_07.JPG



遠心力によって外側へと飛び散るように無数の棘状の突起がその体躯を覆い、アグレッシブでアバンギャルドな雰囲気を濃く放ちます。虚空に浮かぶように展示された姿はどこかコミカルでもあり、仕草と質感とのギャップが混沌とした雰囲気をたったひとりの像で生み出します。


木村泰平_06.JPG



至近で眺めるとそのテクスチャーの異様さがさらに深く視覚に訴えてきます。
鈍い光沢を放つ表層のグロテスクな感触。鋭い突起はその尖端が俯瞰したときの印象とは裏腹に思いのほか丸みを帯びていて、遠くから眺めているときの激しい雰囲気とは異なり、どこか揺らめくような、ぞわぞわと湧いてくるような感触も思い起こされます。関節部分のボルトの生々しさのインパクトも強烈、相当に濃厚な気配を備え、観る側の意識をあらゆるかたちで蹂躙してきます。


木村泰平_05.JPG 木村泰平_04.JPG 木村泰平_03.JPG 木村泰平_02.JPG

木村泰平_01.JPG



須賀悠介は木彫作品とはまた別の彼の一面を極めて大胆に表した巨大なオブジェクトを発表。
ふたつのエネルギーが衝突しているかのような情景をさまざまな素材を用いて作り出し、サイズの大きさがもたらすダイナミズムとともに、そこに起こっている事象へのイメージも異様に壮大に膨らんでいきます。
台座に設置された造形でありながら凄まじく動的な感覚を溢れさせる作品です。


須賀悠介_15.JPG



メカニカルな造形を組み込んだ側、その構造の無機的な感覚とは裏腹に、用いられる素材が木や竹などの有機物で統一され、それぞれにシルバーが塗布されてブリリアントな感触も強められています。素材自体が持つぬくもりと構築された構造のアグレッシブでありながら幾何学的な風合いが不思議なギャップを生み、そのユーモアもイマジネーションを刺激してきます。ディテールの面白さ、手の込んだ複雑さに唸らされつつ、轟々と凄まじい音を立てながら衝撃を発しているような雰囲気に圧倒されます。


須賀悠介_14.JPG 須賀悠介_13.JPG 須賀悠介_12.JPG 須賀悠介_11.JPG

須賀悠介_10.JPG 須賀悠介_09.JPG 須賀悠介_08.JPG 須賀悠介_07.JPG

須賀悠介_06.JPG



反対側は人の下半身の存在感が異様に際立ち、造形の有機的な感触もそれによって強く提示されます。しかし用いられる素材は対面する木や竹の有機物とは裏腹に、金属やプラスチック類などのケミカルな素材がふんだんに持ち込まれ、こちらは無機物で有機的な気配を濃く生み出していて、その展開にも成る程と感じ入ります。
廃材感はさらに強烈、さまざまなモノを凝縮した混沌感が異様な雰囲気を濃厚に醸し出します。


須賀悠介_05.JPG 須賀悠介_04.JPG 須賀悠介_03.JPG 須賀悠介_02.JPG

須賀悠介_01.JPG



加茂昂さんは与えられた壁面いっぱいに数多くの画面を配し、圧倒的なスケールで壮大な情景を展開しています。ずらりと並ぶ画面のひとつひとつに描き込まれるバラエティに富んだ光景群、ディテールを観ていってひたすらもたらされる発見と刺激に高揚感がひたすら煽られ続けます。イマジネーションの膨張も尋常でなく、あらゆるアプローチで繰り出される光の表現、ポップなダイナミズムが再現なく生み出されていてそのアグレッシブな雰囲気に包み込まれる感覚も痛快です。。


加茂昂_14.JPG 加茂昂_13.JPG 加茂昂_12.JPG 加茂昂_11.JPG

加茂昂_10.JPG 加茂昂_09.JPG 加茂昂_08.JPG 加茂昂_07.JPG

加茂昂_06.JPG



さらに、重ねられる画面によってもたらされる物理的な立体感が、その光景をさらに刺激的なものへと押し上げます。下地となる画面を踏まえ、あたかも3Dで飛び出てくるかのように(実際に飛び出ているわけですが、構造としてではなく視覚的な)痛快なインパクトがそこかしこから放たれて、それぞれの展開がまたどうにも痛快でポジティブな世界観をで強烈に迫ってきます。
多彩で鮮やかな色彩感も爽快さをいっそう強め、眺めているだけでエネルギーが得られるような感覚をこのスケールで体感できることがとにかく嬉しいです。


加茂昂_05.JPG 加茂昂_04.JPG 加茂昂_03.JPG 加茂昂_02.JPG

加茂昂_01.JPG
posted by makuuchi at 07:43| review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

review:山本太郎個展「古典 -the classics- チェリー」《3/19》

review:山本太郎個展「古典 -the classics- チェリー」《3/19》

山本太郎個展「古典 -the classics- チェリー」
imura art gallery | kyoto
京都府京都市左京区丸太町通川端東入東丸太町31
075-761-7372
2/12(土)〜3/19(土)日月祝休
11:00〜19:00
山本太郎110212.jpg

Taro Yamamoto solo exhibition "-the classics- cherry"
imura art gallery | kyoto
31, Kawabata-Higashi-Marutamachi,Sakyo-ku,Kyoto-shi,Kyoto-fu
075-761-7372
2/12(Sat)-3/19(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday
11:00-19:00
Google translate



東京の第一生命ギャラリーで発表された作品を交え、そこに新作を加えて構成された京都での山本太郎さんの展示、あの第一生命ギャラリーの広い壁面を誇るスペースを踏まえて制作された作品を異なる場所で観ることができて、おそらくは東京で観ることができていたことで俯瞰して得られる印象がまた違って感じられ、その差異が興味深く思えた次第です。

ひときわ明るく華やかな雰囲気を醸し出していた屏風作品。
和楽器を奏でる女性ユニットと女の子がモチーフになり、屏風の金を背景に咲く桜と敷かれるビニールシート、そこかしこに置かれるおそらくは源氏物語の場面が描かれた缶がアクセントになり、そして女性たちが身につける着物の柄が派手やかで、ビニールシートが描かれている辺りが山本さんらしさを感じさせつつ、いつものウィットが抑えられているのが山本さんの作品としてちょっと違った感触が印象的に思えます。


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第一生命ギャラリーの広く長い壁面の幅を踏まえて制作された、白線を描いた作品。こちらのスペースではふたつの壁面に渡り、さらに2段に並べて展示され、コンパクトに設置されてそこに現れる表情を一挙に俯瞰できるのが嬉しく思えました。
個人的にはこの辺りの山本さんの展開が一番好みです。現代的なモチーフにするりと織り込まれていく和の世界観。硬質に導き出される動線の流れに沿って、散った梅と桜の花びらが巡る季節を連想させ、またさらに先へと進むと白線が歪んで幻想へと誘っていくような構成にイメージも膨らみます。


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浮かぶ子供の靴のポップでかわいらしい色合いと、正面に浮かぶ能面のような女性の表情のコントラストが異様な妖しさを醸し出す作品。さまざまな要素を絡め合わせ、そこから思い描かれる物語性も危うさを増していきます。


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第一生命のでの展示で、白線の端、始まる側に展示されていた小品も。
体内の胎児と身重の女性の描き味のコントラストが不思議な雰囲気を醸し出します。


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2階にいは、ビール缶をモチーフに、そこにさまざまな場面が描き込まれた小品が。
このあたりの飄々と軽快に展開されるハイブリッド感も山本さんらしさを感じます。


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扇子を支持体に用いた作品。
所々にヒビが入る白線と、朽ちかけた散った桜の花びららしきものが描かれ、暗さが独特の深みを醸し出します。


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山本太郎_02.JPG



これまでさまざまな作品をいろんな機会で拝見して、そういったなかで特に痛快な印象が残っているのが、大きな山に道路が横縞のストライプ状に描かれたものだったりして、その空間で飄々と繰り出される空間性の裏切りが楽しく、そのズレのポップさを思い返すと楽しい気分が膨らみます。
山本太郎さんの真骨頂は、賑々しく軽快に、そしておおらかに、現代的な情景やアイコンと和のモチーフとを織り交ぜていく展開かと思っていて、さらにひとつの画面に要素が多ければ多いほどその賑々しさとズレの感覚が強まって楽しく感じられるなぁ、と考えたりします。
今回は特に白線をモチーフにした作品で、重厚で無機的な気配を醸し出す新たな一面を覗かせている感じもまた興味深く、こちらの展開もまた期待しつつ、溢れるような賑々しさとおおらかなスケール感を持ち合わせながらそこに独特の視点で現代社会への皮肉を射し込んだ、さらにエンターテイメント性に富んだ世界観でその神髄を発揮してほしいと願う次第です。


山本太郎_01.JPG
posted by makuuchi at 06:41| review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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