2011年04月15日

review:Stephan Balkenhol《3/19》

review:Stephan Balkenhol《3/19》

Stephan Balkenhol
Tomio Koyama Gallery Kyoto
京都府京都市下京区西側町483
075-353-9992
2/19(土)〜3/19(土)日月祝休
11:00〜19:00

Stephan Balkenhol
Tomio Koyama Gallery Kyoto
483,Nishigawa-cho,Shimogyo-ku,Kyoto-fu,Kyoto-shi
075-353-9992
2/19(Fri)-3/19(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday
11:00-19:00
Google translate



一度目にすると忘れ難いその粗い仕上がりによる活き活きとした木彫の人物像群。
ざっくりとした彫り痕の生々しさはその「木を彫る」という行為の躍動感をしっかりと醸し出し、木彫らしいぬくもりとともにどこまでも痛快な雰囲気が表出され、ワクワクするような高揚感がストレートにもたらされます。
アバンギャルドささえ彷彿させるその質感はむしろ明るく活発で、また行為への闊達なさまも放たれ、極めて清々しくホットな感触が空間全体を満たしていたように思えます。

背景の板の黒と、そこに施される荒々しいヒビのような彫り跡が強烈なインパクトをそこから放ち、その前に佇む人物の気配に作用してアグレッシブな静けさを生み出すインスタレーション。黒のパンツに白シャツのスマートな男性の淡々とした姿、その表層を覆い尽くすささくれ立った粗い木の質感のアバンギャルドさは背景の雰囲気に押されてさらに危うさを放ち、しかしそれでいて軽やかな印象も浮かんで、いろんなポジティブなイメージが混ざって快活なカオスが創出されているように感じられます。


Stephan_Balkenhol_39.JPG



今にも語りかけてきそうなリアリティが、この粗い造形からしっかりと届けられるから不思議で、そして頼もしいです。


Stephan_Balkenhol_38.JPG Stephan_Balkenhol_37.JPG Stephan_Balkenhol_36.JPG Stephan_Balkenhol_35.JPG

Stephan_Balkenhol_34.JPG



並ぶ男女の像。ほぼ同じ高さの台の上に佇み、それぞれの大人びた雰囲気がいい感じで。


Stephan_Balkenhol_33.JPG



刃が木に当てられて圧がかけられ、裂けて割れる瞬間が思い浮かびそうなほどに、その表面はパキパキに仕上げられていて、たとえそれが肌の部分であっても独特の質感はしっかりと保たれ、しかし眼前の仕草にいろんな具体的なイメージやストーリーが脳裏に湧いてきてしまうほどの再現性の高さにも充分唸らされます。


Stephan_Balkenhol_32.JPG Stephan_Balkenhol_31.JPG Stephan_Balkenhol_30.JPG Stephan_Balkenhol_29.JPG

Stephan_Balkenhol_28.JPG



纏うコートやヘアスタイルのふわりと膨らんだ質感、僅かに上へと向けられる視線に満ちる愛嬌。何度も繰り返してしまうんですけどこれほどの粗い仕上がりでさえもしっかりとそこから奏でられるあたたかみに大いに感じ入ります。彩色の鮮やかさも作品ごとの明るさにしっかりと作用して、爽やかな気配もそこに広がっています。


Stephan_Balkenhol_27.JPG Stephan_Balkenhol_26.JPG Stephan_Balkenhol_25.JPG Stephan_Balkenhol_24.JPG

Stephan_Balkenhol_23.JPG



壁面からのっそりと湧いて現れたようなスーツ姿の男性像。
ほぼ実寸を彷彿させるサイズもリアリティを強め、どこか賑々しい臨場感を奏でます。
見上げる姿の凛々しさがいい感じです。


Stephan_Balkenhol_22.JPG



至近で眺めていくと、木の質感、というよりももっと「角材」の質感が強烈に届けられている仕上がりが痛快です。加えて壁面に展示すること前提の造形の独創性がすこぶる高いおおらかで軽快なアプローチ、そこに注がれるユーモアも楽しすぎます。所々に生まれている「割れ」も仕上がりの粗さとうまく響き合い、活き活きとした感触を強めているようにも思えます。


Stephan_Balkenhol_21.JPG Stephan_Balkenhol_20.JPG Stephan_Balkenhol_19.JPG Stephan_Balkenhol_18.JPG

Stephan_Balkenhol_17.JPG



壁の高い位置に飾られていた平面的な作品。見上げる展示位置がいかにも仰々しい絵画を連想させて、そのいたいたずらっぽい遊び心に楽しい気分も膨らみます。


Stephan_Balkenhol_16.JPG



ふたつの空間を繋ぐ一角には木炭によるドローイング作品がずらりと。
舟越桂さんのドローイング作品も近い印象を持つのですが、ふわりとした線描が醸し出すぬくもりに溢れるふくよかな気配に静かに魅せられます。
木彫と同じく活き活きとした明るい雰囲気が伝わってくるのも興味深いです。


Stephan_Balkenhol_15.JPG

Stephan_Balkenhol_14.JPG Stephan_Balkenhol_13.JPG Stephan_Balkenhol_12.JPG

Stephan_Balkenhol_11.JPG



数段の階段を上ったスペースの最奥の壁面にはブラインドのかたちを巧みに取り込んだ木彫作品が。俯瞰すると何だか不思議な感じです。そこに映り込む男性の姿をしっかりと認識しつつも、いったいどうなっているんだろうという構造への興味に意識が引き込まれ、そのユニークさにそれまでで充分に膨らんでいたはずの楽しいイメージもさらに大きくなっていきます。


Stephan_Balkenhol_10.JPG



いやもう、お見事・・・。
1枚ごとにザクザクと彫られた凹みに顔のパーツがしっかりと力強く描き上げられ、深い青の鮮やかさも相まってポジティブな雰囲気でその辺りを満たしていました。


Stephan_Balkenhol_09.JPG Stephan_Balkenhol_08.JPG Stephan_Balkenhol_07.JPG

Stephan_Balkenhol_06.JPG



一転して色合いや造形の渋さが堪らない木彫のオブジェも。
塊の上に生えるようにして作り込まれた男性の頭部のリアリティとその存在の唐突さ、本体部分の両脇に入る鋸の切り込みなどが奏でる抽象性とがひときわ印象に残り、展示のなかで異なる緊張感を醸し出し、アクセントとしても効いていました。


Stephan_Balkenhol_05.JPG Stephan_Balkenhol_04.JPG Stephan_Balkenhol_03.JPG

Stephan_Balkenhol_02.JPG



とにかく楽しい木彫作品です。
美術館などで見かけるとその瞬間に「あー!バルケンホールだ!」と一気に気持ちが上がっていく感じがその都度するのですが、個展で、しかもこのスペースの明るい空間で観ると彫り痕の生々しさ、激しさが感じさせる現代的なストリート感覚や、鮮やかな彩色とスマートな人物の肢体や豊かな表情をを再現するリアリティによってもたらされるスタイリッシュさ、ポップさなど、その独特である意味先駆的な木彫表現の面白さをいっそう濃くしっかりと体感し、ひときわ嬉しい気分に満たされたように思えます。


Stephan_Balkenhol_01.JPG
posted by makuuchi at 08:17| review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

review:永島信也展 mixture《3/26》

review:永島信也展 mixture《3/26》

永島信也展 mixture
Gallery花影抄
東京都文京区根津1-1-14 らーいん根津202
03-3827-1323
3/19(土)〜3/27(日)火休
13:00〜19:00(最終日:〜18:00)
永島信也110319.jpg

Shinya Nagashima "mixture"
Gallery Hanakagesho
1-1-14-202,Nezu,Bunkyo-ku,Tokyo
03-3827-1323
3/19(Sat)-3/27(Sun) closed on Tuesday
13:00-19:00(last day:-18:00)
Google translate



初めて拝見する「根付」の展示。手のひらどころか指先に乗るほどの大きさのなかに実に緻密な表情が彫り込まれ、実用的な要素をしっかりと保ちながらそこにさまざまな遊びが取り入れられていて、実際に手に取ってしげしげと眺めてこの小さなもののなかから無数の発見が得られるのがとにかく楽しく、そもそも触感がなんともいとおしいというか、素材のぬくもりがしっかりと手から伝わってくる感じが嬉しく思えました。

小さな板の上に、きゅっ、と縮こまって乗る爬虫類、もしかしたら恐竜(と考えたほうがサイズの小ささのユーモアが際立ってこれがまた!)がなんともかわいらしい表情を浮かべていて、また握られる両手両足の表情もまたそのかわいさを深めます。全く異なる裏側の感じもまた楽しくて味わい深いです。


永島信也_23.JPG

永島信也_22.JPG



ころりとした造形のなかに詰め込まれる豊かな表情に接し、自然に目尻も緩みます。


永島信也_21.JPG

永島信也_20.JPG



一転して、動物の骸骨をモチーフに彫り上げられたアバンギャルドなクールさを漂わせる作品。そのリアリティに目を見張らされます。こちら側を上にして眺めると本物と見紛うような造形、もちろんそれが木の質感で表現されていてその深みにも魅せられるのですが、ひっくり返してみると小さなトカゲがそこにいて驚かされます。


永島信也_19.JPG

永島信也_18.JPG 永島信也_17.JPG 永島信也_16.JPG

永島信也_15.JPG



麗らかな天使が彫り込まれた根付。
羽根の細かい彫り込みに見入ってしまいます。そして伏せられた瞳から漂うやわらかな表情にも魅せられます。
その反対側には獣が。羽根に包み込まれ、それに護られるようにして潜んでいるその姿もまたかわいらしく思えたり。。。


永島信也_14.JPG

永島信也_13.JPG



丸みを帯びた造形には人魚と鯛の競演。ぽこぽこと湧く泡の白もまた効いていて、鯛の目のくりくりっとした様子とともにコミカルな雰囲気をそこから漂わせます。肘を折って小首に添えられる女の子の右の拳の爽やかな色香にもまた惹かれます。この小さな根付のなかに詰め込まれるファンタジーに清々しさも覚えます。


永島信也_12.JPG 永島信也_11.JPG 永島信也_10.JPG

永島信也_09.JPG



グロテスクな爬虫類の頭部が彫り込まれた作品。散りばめられる花柄がスリリングで危うい気配を際立たせているような印象も浮かんできます。角の部分のすらりと鋭く仕上げられた感じも緊張感が漂ってきます。
そしてこちらもその反対側に、目を閉じた女の子、その両手が獣のものと化していてどこか残酷な物語を思い起こさせ、爬虫類の角の部分がこちら側では後光のような神々しい感じに現れているのも造形の巧みさに唸らされます。


永島信也_08.JPG 永島信也_07.JPG

永島信也_06.JPG



麗らかな女性の肢体がていねいに彫られた作品、明るい木の色味が爽やかな色香となって届けられます。背中の部分の湧く水のような風合いも美しさをそこから奏でます。


永島信也_05.JPG

永島信也_04.JPG



今回発表された根付作品のなかで唯一本物の骨(角だったかも。。。)を用いた作品。この素材で骸骨が彫り込まれるとそのリアリティがぐっと強まり、ちいさな作品から異様に濃い臨場感が醸し出されて、その妖しい気配に意識も呑み込まれていきます。
素材とモチーフの関わりを考えると本物かと思い込んでも仕方がないほどに追求された再現性、そこに大いに感じ入り、唸りながら、さて裏側は、とひっくり返すとそこには裏腹に、麗らかな神々しい世界がしんしんと溢れていて。。。


永島信也_03.JPG

永島信也_02.JPG



すべての作品にさり気なく糸を通せるような穴が備えられていて、これほどの再現性とアプローチの面白さを繰り広げていながらしっかりと根付の機能を保っているところにも多いに感嘆させられた次第。
ほんの小さな、蝋燭の炎の儚さにも通じるような繊細な気配から届けられる深く艶やかな世界にぐっと引き込まれ、さまざまな美しさに魅せられました。


永島信也_01.JPG
posted by makuuchi at 07:09| review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。