2011年04月12日

review:関智生 Real/Red vol.2《3/17》

review:関智生 Real/Red vol.2《3/17》

関智生 Real/Red vol.2
TOKIO OUT of PLACE
東京都港区南麻布4-14-2 麻布大野ビル3F
03-5422-9699
3/11(金)〜4/10(日)月火水祝休
12:00〜19:00
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Tomoo Seki Real/Red vol.2
TOKIO OUT of PLACE
4-14-2-3F,Minami-Azabu,Minato-ku,Tokyo
03-5422-9699
3/11(Fri)-4/10(Sun) closed on Monday,Tuesday,Wednesday and national holiday
12:00-19:00
Google translate



支持体の白に乗るさまざまな赤のテクスチャー。バリエーションに富んだアプローチで紡がれる情景は、色合いによる独特の生々しさ、妖しさと相まってなんとも不思議な気配を漂わせます。
これまでアートフェアなどで拝見してきた関智生さんの作品をようやく初めて個展で纏めて目にすることができ、空間全体の白にもその画面上の赤はよく映えて、鮮やかでありながらどこか謎めいて、そこに潜む何かをこの色彩と筆さばきによって手繰るような独特の感触が濃く漂い、同時に何故かしら澄んだ気配も導き出されていたように思えます。

今回発表されたなかで大きなサイズの作品2点はプロジェクターで画面に投射した画像をトレースすることで描かれたものとのこと。実際に風景の前にイーゼルを立ててその場で制作されたという小さな作品と比較すると、細やかな描写の精緻さが際立ち、ひたすらパターンを展開していく部分にある種の狂気と冷静の共存を彷彿させるような澄んだクールな緊張感が備わっているように感じられます。


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色彩の濃淡がさまざまなかたちで繰り出されることで提示されるリアリティと画面の広さがそのまま転化していスケール感、そしてそれが赤のみで描写されていることの、当然観たままであるのにも関わらず湧いてくる驚き、さらにその美しさに魅せられます。植物のさまざまな姿、シルエットがいろんなパターンのリフレインで描き分けられて、部分に着目したときに人力による整然としたリズム感が立ち上がり、赤というホットな色彩にも関わらず相当にクールな気配が包み込んできます。


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入り口側から右手の壁面には2種類の支持体の作品を交互に並べた壁面が。
描かれる表面積は同じながら、一方は余白で絵画部分を囲むキャンバス作品、もう一方は和紙を水張りしたものを用いたもの、と質感と物理的な構造ともに変化がつけられ、そのコントラストが互いの風合いを際立たせます。


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支持体の明るさが印象的なキャンバスの作品。
もとより画面にトリミングされた方形のなかにバラエティに富んだタッチで眼前の風景が描かれて、どこか繊細な気配の広がりがそこから漂ってきます。


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和紙の作品は、その支持体の質感がキャンバスのものと比較して、より強くその風合いに濃く作用しているように感じられます。
もわもわとうねるような和紙の感触、それにしっかりと引っかかる赤い顔料の生々しさ、所々の濃い赤の部分での画面から僅かに盛り上がる顔料の塊の力強い風合いに無意識に引き寄せられ、またしっかりと描き込まれた作品群でありながらもどこか水墨画のような儚げで繊細な雰囲気もそこからもたらされます。


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関智生_15.JPG 関智生_14.JPG 関智生_13.JPG 関智生_12.JPG

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正面の壁面に並ぶ3点の作品は、その濃淡の深みがひときわ鮮烈かつ重厚に感じられた次第。
ある風景が描かれていることの素直な解釈とともに、描かれているものではなくその作品自体が「いったい何か」ということへの興味が淡々と湧いてきます。


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アグレッシブなタッチによる焦燥感、ひたすら点描を画面に置いていく淡々とした行為の蓄積、赤という色彩に備わる異様さがさまざまなかたちで画面に定着し、描かれている情景本来が醸し出す静寂感とともに、アバンギャルドな気配も引き出します。


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赤という色彩から連想する炎や血といったさまざまな熱を帯びているもののイメージは、関さんの作品を目にしていても当然作用して、さまざまな自然の情景が描かれていることへのストレートな想いとともに、その熱を帯びる気配への想像も深くなっていきます。顔料が塊となって画面に乗る部分などは、そこに異様なエネルギーの塊を観るようでもあるし、また有機的なタッチがひたすら紡がれる様子へは、淡々としていつつもどこかその行為を支える熱量の存在へも想いが至ります。


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さらに想像が膨らんで、本来はそこにない赤を用いて描くことにおいて、例えば燃えたり、あるいは枯れる過程で現時点ではグリーンなどの異なる色彩であってもそのなかには赤を放ち得る色素がおそらくは備わっているはずで、それを描くことで抽出している、実際に目の前にあるシルエットの奥に潜む要素をこうすることでお引き出しているような感じもしてきます。


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posted by makuuchi at 09:52| review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

review:大石未生展《3/24、3/26》

review:大石未生展《3/24、3/26》

大石未生
ギャラリーなつか
東京都中央区銀座5-8-17 ギンザプラザ58・8F
03-3571-0130
3/21(月)〜3/26(土)
11:30〜18:30
大石未生110321.jpg

Mio Oishi exhibition
ギャラリーなつか
5-8-17-8F,Ginza,Chuo-ku,Tokyo
03-3571-0130
3/21(Mon)-3/26(Sat)
11:30-18:30
Google translate



鮮やかな色彩の解釈でさまざまな風景や場面をシャープに描き出すスタイルは前回の個展でも印象に残っていますが、今回はそこに細かい描写が加わり、また以前は用いられる色彩のバランスがほぼ同じ割合のような感じだったのが、今回は特に背景に大きな色面を充てることでその上に乗るさまざまなモチーフが際立ち、緻密さがいっそうの鋭さを持って迫ってくる感触が痛快に思えた次第です。

エレベーターの扉が開いていきなり目に飛び込んできた大きな作品、広いイエローの弾けるような鮮やかさが、背景の濃いピンクに映え、ポジティブな力強さを持って一気に迫ってきます。そして随所に描き込まれる細やかなモチーフ、足下の排水溝の蓋や防火水槽の標識といったものの輪郭が精緻に再現されて、おおらかな色彩の広がりが重なっているなかでアクセントとなって、きゅっと縮んだ部分に意識が
飛んでいきます。


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人物が登場する作品、日常的な身近な場面におけるさまざまなモチーフが幾何学的に、そして大胆な省略も繰り出しながら鮮やかに再構築されていく感じがどうにも楽しく思えます。
地面と空とが同じ深いオレンジでひとつの色面として表現され、それによって理論的に消える奥行きが不思議な空間性をそこに導き出します。それでいて精緻に再現されるさまざまなモチーフの配置がしっかりと空間としての立体感をしっかりと表していて、なんとも不思議な、硬質な浮遊感が生み出されています。


大石未生_17.JPG 大石未生_16.JPG 大石未生_15.JPG 大石未生_14.JPG

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画面を横切る黒と白の大きな色面がシャープな構造となって迫ってくる作品。
無彩色が大きく展開されることで硬質な感触もいっそうの重厚感を伴って展開されていきます。
加えてその情景に灯るさまざまな人工建造物も、そのシルエットの幾何学的で無機的な感触が際立って、醸し出されるリズム感もよりクールに届けられます。橋の手すりのパターンの細かさ、白に唐突に浮かぶ看板の鮮やかな色彩の配置の絶妙さ、さまざまな要素が関わり合って創出されるダイナミズムに頼もしさも覚えます。


大石未生_12.JPG 大石未生_11.JPG 大石未生_10.JPG

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さらに緻密な再現性が展開される作品、こちらの精密さにはおおいに唸らされた次第。
電柱の複雑な配線が鋭いシルエットで整然と描き上げられて、また淡いベージュの背景に乗るオレンジがその鋭さをいっそう前面に押し出していきます。またシンプルな配色と大胆な省略(電柱自体を省いてしまうとは!)が、未来的なイメージを強めていきます。それ以外にも気ままなほどに描き残されるさまざまな要素が整然としたリズムをそこに生み、もともとの情景を保ちつつ、メカニカルに展開されていくような痛快なイメージもぐんぐんと膨らんでいきます。


大石未生_08.JPG 大石未生_07.JPG 大石未生_06.JPG 大石未生_05.JPG

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ちいさな画面の作品でも実験的な風景の解釈が繰り出されていきます。
大胆な配色がコンパクトな画面で展開されて、それぞれの光景から意表を突く得難いクールなポップさが放たれます。


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比較的身近な情景を採り上げてそこに大胆な解釈を注いで作り上げられていくシャープな世界、引き立てられる鮮やかな色彩感や硬質なかたちがひとつの画面の上に絶妙なバランスで配されていき、またひとつの色面として提示される部分へも脳内でしっかりとイメージが補完され、同時にその先の展開へも自然に広がっていくような感覚がもたらされるのが楽しいです。


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posted by makuuchi at 06:39| review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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