2011年04月08日

review:冨井大裕個展『色と形 を並べる』《3/4、3/10》

review:冨井大裕個展『色と形 を並べる』《3/4、3/10》

冨井大裕個展『色と形 を並べる』
ラディウム-レントゲンヴェルケ
東京都中央区日本橋馬喰町2-5-17
03-3662-2666
3/4(金)〜3/26(土)日月祝休
11:00〜19:00
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Motohiro TOMII "Placing Colors and Shapes"
Radi-um von Roentgenwerke AG
-5-17,Nihonbashi-Bakurocho,Chuo-ku,Tokyo
03-3662-2666
3/4(Fri)-3/26(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday
11:00-19:00
Google translate



用いる素材の形状や質感などといった要素をそのままに、それらをシンプルに構築することで元々からのイメージの拡張をもたらすクリエイション、といった印象の展開を繰り広げられる冨井大裕さん。gallery αMなどでの展示で提示されたときからそのスタンスを維持しながら、そこに大胆でキャッチーな色彩をそこに織り込み、観念的な世界のなかから意外なほどのポップさを引き出しているような構成が痛快に思えた次第です。

硬めのカラーフェルトをスクエアにカットしそれを重ねて出来た大きな立方体。その存在感はサイズの大きさもあり展示空間内で際立って、しかし過剰なまでに納まった形状が独特のユーモラスさを醸し出します。
互い違いに重ねられる色彩、カット断面のごわつき、角の部分の鋭さなど、1枚のフェルトがそこに置かれているだけの場合とはそれぞれの質感の立ち上がり方、空間や観る側の感性への作用の仕方が当然ながら格段に違うことが強く認識されます。


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奥の壁面上方に、紐状の何かが鋸の刃のかたちに連ねられた作品が。


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カラーテープでラミネートされた針金、よく袋の口などを止めるときに使うあれですが、この作品における制作にあたる行為の、観た限り「誰でもできる」と感じられることが、展示位置や色彩のチョイスと配分、構造などにおける冨井さんのクリエイティビティの独創性、スタンスのユニークさを小気味よくシャープに伝えてくれるように思えます。


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鮮やかな色が塗布されたシャコ万力(という呼び名を調べて知りました。シャコって何?という疑問も浮かびますがそれはそのうち...)ふたつをそれぞれが挟み合うかたちで90度に組んで固定させた作品、3色それぞれ三つ巴で組み合わせられて、配置と合わせてそれがリズムを生み出します。


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こうやって機能美がそもそもの用途からやや乖離したかたちで提示されることで、かたちのユニークさや色彩のポップさ、そして何よりアイデアのユーモアがふわりと押し出され、楽しいイメージがぐんぐんと湧いてくるから面白いです。
壁面に映り込む影も含め、淡々とした機能的なかたちでありながらその表情のひとつひとつに美しさや格好良さを感性が自然に捕らえていきます。


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2色のカラーのワイヤーを正方形に沿って掛けただけのインスタレーション。
やはりこちらも使用されるものの元々の用途とは裏腹の得難い表情がそこに導き出されているのが痛快です。


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1階から階段を上りきった正面の壁面に展示されていたボルトの作品。
こちらもシンプルな構造美が実にコンパクトに提示され、金属の光沢や絶妙に面取りされた浅い六角柱が重なった構造の唐突な突起物は何ともかわいらしく思えてくるから不思議で、また痛快です。本来の機能どころかこの壁面にあること自体にいわゆる「意味」がなく、だからこそ機能以外の構造自体のプリミティブな面白さがひときわ魅力的に思えてきます。


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階段の踊り場の縦に長い壁面には筒状に巻かれたポスターが。
それぞれの印刷が細い筒状になっていることで本来喧伝すべき情報が失せ、それぞれの色彩感が強められます。


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1階のエントランスのスペースには、シンプルな行為が紡がれた作品が。
カラーテープを巻いただけ、行為だけを抽出するとホントにそれだけの作品ではあるのですが、ひとつのラインにほぼ同じ太さと全く同じ幅でさまざまな色彩が並んでいる様子を目にすると、無機質であるのにキュートに思えてくるのが何とも楽しげです。


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それが分量を増して提示されると、ポップなカオスが生み出されます。
眺める角度によってさまざまな表情が立ち上がり、またスケール感もいっそうの豊かさと迫力を持って迫ってきます。
そしてよくよく考えるとこれほどまでに一定にテープを巻く行為自体にテクニカルな凄みを感じ、その凄みに圧倒されます。


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冨井さんが提示するクリエイションは、ほぼすべてが「これをこうすればこういうものができる」という実にシンプルなもので占められていて、その「誰でもできる」感じがイマジネーションの純度、ユーモアやシリアスさなどさまざまな要素の輪郭をしっかりと保たせることを可能にしているように思えるのが興味深いです。
今回はそこに色彩の遊びも加えられ、「作り方」のシンプルさは色彩のチョイスによって広がるバリエーションの圧倒的な豊かさも容易に思い起こさせてくれます。
こういった作品で作り上げられる空間にもたらされる静かな緊張感も独特の魅力を醸し出しています。


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posted by makuuchi at 08:04| review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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