2011年04月05日

review:関口正浩「反転・回転・反復」《2/19、3/1》

review:関口正浩「反転・回転・反復」《2/19、3/1》

関口正浩「反転・回転・反復」
児玉画廊|東京
東京都港区白金3-1-15-1F
03-5449-1559
2/19(土)〜3/26(土)日月祝休
11:00〜19:00
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関口正浩「反転・回転・反復」
児玉画廊|東京
東京都港区白金3-1-15-1F
03-5449-1559
2/19(土)〜3/26(土)日月祝休
11:00〜19:00

Masahiro Sekiguchi "reverse / revolve / repeat"
Kodama Gallery,Tokyo
3-1-15-1F,Shirokane,Minato-ku,Tokyo
03-5449-1559
2/19(Sat)-3/26(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday
11:00-19:00
Google translate



文字通りのオイルオンキャンバスながら、油絵の具を薄いシート状に加工して画面に重ねていくという独自の行程と手法を経て制作される作品は、拝見するたびに進化を遂げ、今回は1枚のシート自体が今まで以上の厚みを得てこれまでとはさらに異なるテクスチャーが創出されていたのが特に興味深く思えた次第。
以前の「薄さ」に伴って引き起こる破れや剥落が醸し出すスリルから、重厚な雰囲気も漂う堂々とした色面の展開へとその表現が押し進められ、今までとは異なる迫力が力強く放たれていたように思えます。


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厚めの油絵の具のシートは、それにより画面に明らかな段差を生み出します。
そしてそれがひとつひとつの色彩に、そして色面に濃度となって現れ、フラットなマチエルはより重厚なフラットさで艶やかに現れます。加えてそれでも寄るシワの部分もこれまでの繊細で際どい緊張の中にもたらされる密度とはむしろ逆、ぎゅっと濃く深い、文字通りに濃密で力強い感触を醸し出します。


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ひとつの画面に用いる色彩も拝見するたびに、これまでのひとつの色彩での展開はそれで保っていきながら、一方でおおらかに大胆な配色が繰り出されています。そこから放たれる鮮やかな色彩感、繰り出されるかたちの無秩序さも、観る側の感覚を煽るようなエネルギーに転化されていき、溢れるような動きに満ちた情景が創出されていることにも感じ入ります。


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その一方でひとつの色彩で画面を構成するケレン味のない展開の作品からは、そこに引き起こされる実に微細なテクスチャーの面白さが濃く伝わってきます。オレンジのポジティブな色彩が方形の画面を覆い尽くす作品、重なるシートの段差と「それによる物理的に微妙な奥行き感、またところどころに寄るシワがその表現の刹那な感触を伝え、単にこの面積の色面を提示していることに留まらない、しっかりと行為のユニークさやそれに伴って起きる現象の深みなどを重厚に届けてくれます。


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コンパクトな作品だといっそうディテールの面白さに魅せられます。
分厚くなったシートはそこに広がる色彩自体にも深みをもたらします。


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同心円状にさまざまな色彩が重ねられている作品のシリーズも、どこかユーモラスな雰囲気を届けます。そのまま「的」が連想されそうな画面構造で、円形にちぎっていく行為が醸し出すぎざぎざと揺れる円の輪郭がミニマムな抽象性を奏でて、また同心円の外へと広がっていくイメージが自然に湧いてくることと響き合い、なんとも痛快でポップな世界となって迫ってきます。


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関口さんのユニーク極まりない展開はさらに留まるところを知らず。
今回の展示のタイトルの無機質な感じは、あらためて思い返すと文字通りの行程がそれぞれの作品に織り込まれていて、それに気付くとさらにこの表現自体が面白く、そして可能性も大いに感じさせてくれます。

同一の色味の作品が並べて展示されている一角。
白、グレー、イエロー、ブルーの4色の発色の鮮やかさがポジティブな印象をストレートに届け、瑞々しい気持ちにさせてくれるのも嬉しい作品。
並ぶふたつの画面を見比べているとそこにほぼ同じかたちがそこかしこに見つかっていきます。こちらの作品は2枚のシートを重ねてちぎることでほぼ同じかたちのシートを作り上げ、それぞれの画面に配していくという行程が経られているらしく、いくつかは裏返しになっていたりもしてそこがトリッキーだったりもするのですが、ひとつ気付くとどんどんと連鎖的にふたつの画面の関係性が強く感じられてきて痛快です。


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柱部に展示された2点の作品、こちらは上の展開に加え、ほぼ対称の位置にそれぞれの色面のシートが配されています。展示も柱のちょうど表と裏の関係にある位置にそれぞれ展示され、展示では同時にそれぞれの画面を見比べることはかなあwなかったのですが、展開されるユニークさには唸らされた次第です。抽象的な情景に緻密にもたらされている秩序がどうにも痛快です。


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濃淡が異なる4色のグレーによるコンポジションも面白いです。
正確には微妙にずれてはいるものの、画面に配される三角形の色面の辺の部分がほぼ同じズレ方をしていて、ああなるほど4枚のシートを重ねてちぎったのか、と納得。並べて展示されることで微妙なエッジの差異などミニマムな部分でのギャップが面白くて堪らなかったり、また動く色面のイメージも楽しく思えます。


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さまざまなかたちで、実験的な展開が繰り広げられていたのが興味深かったです。さらにシート状の油絵の具のコントロールが可能になっていくとどんな作品が出来上がるのだろう、と好奇心も煽られます。
posted by makuuchi at 10:57| review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

review:笛田亜希 Animaless Zoo Project #021 INOKASHIRA《3/4、3/5》

review:笛田亜希 Animaless Zoo Project #021 INOKASHIRA《3/4、3/5》

笛田亜希 Animaless Zoo Project #021 INOKASHIRA
LOWER AKIHABARA.
東京都千代田区東神田1-11-7 東神田MKビル1F
03-5829-8735
3/4(金)〜3/19(土)日休
11:00〜19:00
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Aki Fueda Animaless Zoo Project #021 INOKASHIRA
LOWER AKIHABARA.
東京都千代田区東神田1-11-7-1F,Higashi-Kanda,Chiyoda-ku,Tokyo
03-5829-8735
3/4(Fri)-3/19(Sat) closed on Sunday
11:00-19:00
Google translate



お馴染みの井の頭動物園をモチーフにした作品群。
今回はメインスペースには大作のペインティングのみ5点が壁面に展示され、絶妙な案配の写実性と渋くも大胆な色彩を用いることで得られる独特の重厚さ、神々しさを秘めるさまざまな静かな情景が描き上げられていて、ゆったりとした深い気配に包み込まれました。

正面から描かれる大きな建物。その堂々とした佇まいはそこに人々が描かれないことでいっそうの重厚な静謐を醸し出し、また入り口前に並ぶ動物たちの遊具のほんのりとした淋しげな感触や、全体を覆うセピア調の沈むような気配など、静かに心に響き渡る緩やかで切ない雰囲気にしっとりと魅せられます。


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細い柵の向こうに佇むつがいのツル。
手前の鉄線の柵が画面の左右に水平に走っていることも作用してか、また全体的に水平方向でのストロークが多用されているせいもあり、どこか流れる時間の刹那な感触がそこにもたらされているような感じで、それによる気配がツルの神々しい存在感を際立たせているように思えます。


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動きの要素が入る作品ほど、そこに横たわるどこか懐かしげな、淋しげな雰囲気は強く醸し出されているように思えます。
回転する遊具を描いた作品では、その動きのダイナミズムが力強く臨場感たっぷりに捕らえられ、しかし本来そこにある賑々しさ、嬌声や楽しい悲鳴などが脳裏によぎるよりもむしろ、そういう想い出を淡々と再生しているかのようなセンチメンタルなイメージが静かに脳裏をよぎっていきます。


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柵が描かれない作品に登場するのは、カラス。
自由に飛び回って思い思いの場所に降り立つ様子がどこかコミカルでシュールです。
シルバーが大きく画面を覆う様子がひときわ硬質な雰囲気をそこに引き出して、その奥に遊びに興じる人々のシルエットもどこか声まで遠くに聞こえるような印象で、そしてカラスの黒のなかから滲んでくるさまざまな色彩の妖しさやその姿とは裏腹な無垢な表情などがどこか淡々とした、ひとつ転ぶと怖さにも転じるようなクールな滑稽さを奏でているように思えます。


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ちいさな立体作品も魅力的です。
柵と動物の姿とをひとつのかたちに取り込んだ金属のオブジェ、その色合いや質感が醸し出す重厚感が静かに、豊かに響きます。


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平たく置くとまた、柵の感触が押し出されて、ミニチュアのジオラマのような楽しさがころころと溢れます。


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地下のスペースには、そのオブジェをモチーフにしたドローイング。異なるメディアの作品が繋がって、それが世界を意外な方向へと広げてくれます。


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さらに大判の、紙を支持体に採用した作品も。
ひとつのテーマを通じてそれをさまざまなかたちで提示するあたりが笛田さんらしく思えます。それぞれにしっかりと独特の味わいと雰囲気が感じられます。


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ペインティングを中心に大きく深く濃厚な気配を作り上げ、そこにいろんなアプローチを取り込むことで細やかな気配の表情を織り込んでいったような展開と構成が印象的で、ここで感じたイメージは静かに心に残っていきます。なんだか時間をかけて、ここで得た想いも良い感じに枯れて、それにつれて深みも増していくように思えます。


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posted by makuuchi at 05:56| review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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