2011年04月04日

review:蝸牛あや「海のむこう 空のなか」《3/3、3/10》

review:蝸牛あや「海のむこう 空のなか」《3/3、3/10》

蝸牛あや「海のむこう 空のなか」
MEGUMI OGITA GALLERY Showcase
東京都中央区銀座5-4-14-4F
03-3571-9700
3/3(木)〜3/26(土)日月祝休
12:00〜19:00
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Aya Cagiu "Over the sea, in the sky"
MEGUMI OGITA GALLERY Showcase
5-4-14-4F,Ginza,Chuo-ku,Tokyo
03-3571-9700
3/3(Thu)-3/26(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday
12:00-19:00
Google translate



ドローイングのような刺繍。
さまざまなステッチを繰り出して、それはまるでペン画の細やかなストロークにも通じるような豊かさで。その画面にもたらすバラエティに富んだテクスチャーは、ひとつの色の糸で紡ぎ出される面に緻密なリズムを生み、また支持体の布からふっくらと浮かび上がる糸の様子が独特のあたたかみを醸し出します。

クラゲをモチーフに表現した作品、微妙な色彩の差異が細やかなグラデーションをそこに表出していて、その揺らめくクラゲの立体感がていねいに、そして緻密に描写されているのが何とも楽しいです。


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こちらもクラゲらしく。
くにゃりと軟体のユーモラスな動きを現していてかわいらしく思えます。
また。青系統の色彩をふんだんに用いていて、それぞれの瑞々しく爽やかな色合いの美しさにも魅せられます。


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水面を描いたような3点の作品。
ほんのりと青が滲んで広がる支持体に施される刺繍による点描。それが水面の輝きを立体的に描き現して、物理的に画面に浮かぶ糸の部分が遠目に眺めて漂う霞のようなイメージへも転化していきます。
細やかなステッチで紡がれる密度がふわりとした風合いを生んでいて、そのふわりとやさしい気配に感じ入ります。


蝸牛あや_08.JPG 蝸牛あや_07.JPG 蝸牛あや_06.JPG

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細かいステッチのみで青い空を表現した作品では、ひたすら布に施される細かいドット状の刺繍の分量に圧倒されます。
淡々と行われた行為の痕跡としての深み、濃厚さに呑み込まれつつ、それでもそこから奏でられる繊細で淡い気配のやさしさや刺繍という手法がもたらすぬくもりが心にやわらかく響いてきて、仕事量に想いを馳せて呆然とするのと同時に、ほっとさせてもくれます。


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やや小さめの画面では、夕暮れを表現した作品が。こちらもひたすらに水平方向に刺繍がストイックに施され、ひとつのパターンのステッチで紡ぎ出される色彩の広がりが淡くてどこか切ない気配がこの小さな画面から奏でられていて、なんだかじんわりと心にしみてきます。


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手縫いの刺繍のやわらかな、あたたかな風合いに魅せられます。
ちいさな画面の作品が多かったのですが、だからこそそこから醸し出される緩やかでやさしい気配が心地よく感じられました。


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posted by makuuchi at 07:21| review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

review:夢で逢いましょう|See me in the dream 青木豊、明石雄、大塚聡、杉戸洋、塚田守、南川史門《2/12、2/15》

review:夢で逢いましょう|See me in the dream 青木豊、明石雄、大塚聡、杉戸洋、塚田守、南川史門《2/12、2/15》

夢で逢いましょう|See me in the dream 青木豊、明石雄、大塚聡、杉戸洋、塚田守、南川史門
SPROUT Curation
東京都江東区清澄1-3-2-6F
03-3642-5039
2/12(土)〜3/19(土)日月祝休
12:00〜19:00
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See me in the dream Yu Akashi | Yutaka Aoki | Shimon Minamikawa | Satoshi Otsuka | Hiroshi Sugito | Mamoru Tsukada
SPROUT Curation
1-3-2-6F,Kiyosumi,Koto-ku,Tokyo
03-3642-5039
2/12(Sat)-3/19(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday
12:00-19:00
Google translate



全員日本人の男性、ということを除くとほぼ、セレクトされたアーティストの共通項はなくて、世代もメディアもさまざまななクリエイションがひとつの空間にパッケージされた展覧会、しかも展示されている作品もサイズが実にバリエーションに富んでいて、しかし展示構成の見事さ、鮮やかさがだからこそ際立ち、収められるバラエティの豊かさもいっそう楽しく感じられたことが痛快でした。

杉戸洋さんと塚田守さんの作品。塚田さんの大判の画面に収められるぼんやりとした輪郭、杉戸さんのあたたかくて曖昧な世界観。前者の写真としてのクリアさ、後者のペインティングの油絵の具の質感の生々しさ、極端に異なるサイズ、など、など。それぞれのテクスチャーやテイストがこうやって隣り合う壁面に飾られて、ひとつの視界にそれらをおさめたときに痛快なコントラストが現れてきて、そこから得難いイメージの共鳴が起き、つながり、広がります。


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明石雄さんの対の作品。
ミレーのオフィーリアへのオマージュを彷彿させるモチーフの引用、それが明石さんの独創的な手法、無機質な無彩色の方形の細かいセルを配した展開で再現され、また同一の画像をこのようなかたちで組み合わせて提示することで未来的なアバンギャルドさがいっそうの鮮烈さを帯びて迫ってきます。加えてそれぞれの画面の微妙なテクスチャーの違いも提示される世界観に独特の深みをもたらします。
昨年の個展で発表された抽象性の高い情景から一変、意識が生死の狭間に漂っているような女性の不思議な表情がこれまでになくくっきりとした、エッジが効いた輪郭で表現され、表出されるスリリングな艶かしさに大いに魅せられます。今後の展開もさらに楽しみになってきた次第。


明石雄_09.JPG 明石雄_08.JPG 明石雄_07.JPG 明石雄_06.JPG

明石雄_05.JPG 明石雄_04.JPG 明石雄_03.JPG 明石雄_02.JPG

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ほぼ会期を同じくして隣のhiromiyoshiiで個展を開催されていた青木豊さんの作品も。
シンプルに2点のみの出品ながら、しっかりとそこに硬質で鋭い世界観が展開されていたのが印象的です。
壁面にかかるキャンバス作品のダイナミックにうねる絵の具の盛り上がりとそこから浮遊する光沢、ストライプが施されたキューブに置かれたボールの微妙なきらめき。それぞれの存在感は極めて無機的な感触が強く表出しているように感じられ、抑え込まれる有機的な感触から得られるクールさと、さらにぎりぎり醸し出てくる人の感覚のぬくもりが得難い気配を放出しているように思われます。


青木豊_01.JPG



上のふたりのクールなクリエイションとは裏腹に、人情味に溢れる、とも表現したくなるような南川史門さんの味わい深いペインティングがそのそばに展示され、互いの個性を際立たせていました。
くぼんだ一角にひっそりと隠れるように展示された作品。淡々とした男性の表情、しっとりと広がる黒の背景、何も言葉も情報も発していないのに、眺めていて伝わる穏やかで達観したような、なんとも独特な気配に引き込まれます。


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南川史門_08.JPG



淡いモノトーンのペインティングが並ぶ一角も印象的。
それぞれの画面から漂う「緩さ」が、この展示に絶妙なバランスで収まっていてそれが痛快で。


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ひとつの画面との対峙からはじんわりとふっくらとした気配が伝わってきて、それで心が満たされていきます。ひとつの要素を捉えたときに感じられる滋味豊かな風合い、全体を俯瞰して繋がる要素同士によってもたらされるほんのり淡いシュールさ、さまざまな感触があたたかな印象をもたらします。


南川史門_04.JPG 南川史門_03.JPG 南川史門_02.JPG

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カウンター前の壁面には大塚聡さんの作品。
再び極めてクールで硬質な世界観の提示が。


大塚聡_03.JPG



そのメディアの圧倒的に未来的な風合いは今回のインスタレーションのなかでも異彩を強烈に放っていたのが印象に強く残っています。
広い鏡面の奥に漂う光のドットの軌跡のシャープな美しさ、それらは画面の奥へとすうっと伸びていて、その動きを眺めているだけで別次元に意識が誘われていくかのようです。


大塚聡_02.JPG

大塚聡_01.JPG
posted by makuuchi at 06:15| review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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