2011年04月01日

review:SLASH-3 Naively Manners:大田黒衣美/谷口真人《3/4、3/10》

review:SLASH-3 Naively Manners:大田黒衣美/谷口真人《3/4、3/10》

SLASH-3 Naively Manners:大田黒衣美/谷口真人
island MEDIUM
東京都千代田区外神田6-11-14 3331 Arts Chiyoda 205
03-5812-4945
3/4(金)〜3/23(水)月火休
12:00〜19:00
大田黒衣美谷口真人110304.jpg

SLASH-3 Naively Manners : Emi Ohtaguro / Makoto Taniguchi
island MEDIUM
6-11-14-205,Soto-Kanda,Chiyoda-ku,Tokyo
03-5812-4945
3/4(Fri)-3/23(Wed) closed on Monday and Tuesday
12:00-19:00
Google translate



ひとつの空間にパッケージされたふたつの個性。それぞれ隣り合うふたつの壁面を分け合い、ちょうど斜向いに向き合うようにして展示されていて、それぞれのユニークさがしっかりと提示されてそれが互いの独創性を引き立て合い、また通じ合う部分の親和性が展示に統一感をもたらしていて、この構成の見事さに唸らされた次第。

谷口真人さん。鏡面を画面の奥に配したお馴染みの作品2点を発表、それもこれまで拝見してきたものと比較して大きなサイズで、奥に収まる広い鏡面が虚構の空間のスケールを押し拡げているように感じられます。


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手前の絵の具の盛り上がりの抽象的な質感、奥の鏡面に映る女の子のかわいらしい佇まい。そのギャップはそのまま現実と幻想との距離を現しているようで、届かない存在に馳せる想いも強まっていくような。。。


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一方で、モチーフを構成する素材がより直接的に露になっているような構造にもさまざまな想いがよぎります。虚構の正体というか、浮かぶ妄想を作り出す要素が生々しく提示され現れているような感触はグロテスクなイメージへも転化していきます。構成する色彩の鮮やかさが変わらないだけに、そのギャップが引き出す現実感はいっそう強烈に思えます。
しかしこのユニークさはユーモアと捉えられるようにも感じられて、明るい色彩が奏でる軽やかさが提示されているグロテスクな要素を中和してくれるのもなんだか頼もしいです。


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ドローイング的な作品もユニークさが際立ちます。
並ぶ3点の画面。何となく同じモチーフを描いているのかな、という見当はつくのですが、その行程のユニークさを伺ってこの崩れた女性の肖像らしき作品への興味も深まります。


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それぞれ、同じ画像をトレースし、持つ筆かペンか、あるいはそれに準ずる何か、いずれにしても手に持つものにエクステンションが取り付けられ、その先端に装着された木炭などの画材が支持体にその輪郭を描いていく、というもののようで(しかもエクステンションは結構な長さがある模様)、性格にトレースしても無意識に歪みが生まれ、その差異がそのままバリエーションとなっているあたりが面白いです。コントロールできないことで得難い表情がそこに生まれていることも興味深く感じられます。


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もう一種類の同一モチーフの3点組の作品も、同様の構図が写し取られていて、その関係性と質感の微妙な違いに面白みを感じます。
微妙に異なるテクスチャーが、ひとつの場面が一歩違うとそれぞれに異なる展開が生まれる、ということを提示しているようにも思えます。また、想い描く情景の輪郭の曖昧さを現しているようなイメージも浮かんできます。


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谷口さんと対峙する大田黒衣美さんの作品群。
用いる素材の質感の生々しさを絶妙な塩梅で作品に取り込んで独自の世界を紡ぎ出す印象の大田黒さん、今回の展示でタブローを発表されていて、そこに描かれる景色を思い起こさせる曖昧な絵の具の緩やかな滲みが支持体の光沢と柄と響き合い、儚げな気配を繊細に立ちのぼらせると同時に、提示される行為事態は相当に直接的で、その深遠さが観る側の意識を重く包み込んでくるような印象を届けます。


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繊維に染み込む顔料のテクスチャーが生む細かい密度、画面を垂れる痕跡の生々しさなど、そこに現れる要素がさまざまなかたちでスリリングな雰囲気を醸し出します。


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入り口上部にはさらに大判のタブローも。
こちらは制作された時期がやや異なるようで、大田黒さんの作品としては具象性が高めなのが逆に惹かれ、興味も湧いてきます。


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もうひとつの壁面には、グループショーやフェアなどで発表されてきた板ガムを用いた作品が。
他のさまざまなクリエイションに囲まれても、そのキッチュでキュートな存在感を際立たせていたユニーク極まりないこのシリーズがひとつの壁面に展開されたとき、そこに備わるユーモアとさまざまな意味でのおおらかさがいっそう強く提示されているように感じられました。


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ガムという消化できないお菓子、というユニークな素材への着眼の鋭さとユーモア、そして一方で工業製品でもあるこの素材のかたちのシャープさは、このシリーズに独特の質感として遺憾なくその威力(というと言葉の強烈さがちょっと違うんですけど。。。)を発揮しています。
加えて、程よい粘度を持つ加工のしやすさも相まって、しっかりと眺めると意外なほどに工芸的なアプローチも繰り出され、表現される人物の表情や仕草といったディテールも巧みに表現されているのがまた楽しいです。


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また、少し前に制作された作品もいっしょに展示されていたようで、時間が経って外気に比較的長期にわたって触れることで微妙に丸みを帯び、ほんのりと膨らんでいるような感じになっているのも新鮮な面白みを届けます。


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意表を突く素材のチョイスから始まる大田黒さんのガムのシリーズ、独特の無機質な色味やかたちの組み合わせの妙などを含め、さまざまな要素が細かく積み上げられてそこから届けられる遊び心はどうにも痛快。サイズの小ささが小気味よさを創出していたり、気分も盛り上がります。
また、ガムといえばもっと多様なかたちや色が売られているわけで、現時点では板ガムのみでのコンポジションなのですが固形のものなどが取り入れられるとどうなるんだろう、という想像も膨らんでいくのもまた楽しいです。


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この2人展では、それぞれのドローイング風の作品がコンセプトや手法などはおよそ異なっていながらも第一印象的に感じ取れる気配が通じ合っていて、それらが互いのクリエイションを繋ぎ、ひとつの展示としての自然な気配の流れを生み出しているように感じられたのも深く印象に残っています。
posted by makuuchi at 13:50| review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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