2011年04月19日

review:森裕子「フーコーの振り子とコリオリの力」《3/26》

review:森裕子「フーコーの振り子とコリオリの力」《3/26》

森裕子「フーコーの振り子とコリオリの力」
Ohshima Fine Art
東京都新宿区西五軒町3-7 ミナト第三ビル3F
03-3235-2271
3/26(土)〜4/16(土)日月火祝休
13:00〜19:00
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Yuko Mori solo exhibition 'Foucault Pendulum and the Coriolis Force'
Ohshima Fine Art
東京都新宿区西五軒町3-7-3F,Nishi-Gokencho,Shinjuku-ku,Tokyo
03-3235-2271
3/26(Sat)-4/16(Sat) closed on Sunday,Monday,Tuesday and national holiday
13:00-19:00
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やさしく膨らむように広がるふわふわとした色彩感。これまで拝見した印象と比べても用いられる色が明るく軽やかになって、それが独特の丸みを帯びるタッチによって緩やかで爽やかな幻想世界が紡ぎ出されていきます。
ひとつの画面に描き重ねられるさまざまな要素、佇んでこちらを見据える動物や巣にきゅっと並んで詰まってさえずる小鳥たち、空を優雅に飛ぶ渡り鳥の一群などの命を宿すものたちの無垢な生命の感触がポジティブな雰囲気をもたらして、そしてその真ん中に登場する人物の中世の出で立ちがファンタジックな印象をさらに強めて、何だか爽やかで楽しい気分に満たされていきます。


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その中世の気配がそれぞれの作品で発せられ、それが多彩な色合いの作品群にひとつの世界観を貫いていきます。
これらは磁器のオブジェがモチーフとなっているとのことで、それを意識するとおしとやかな佇まいがとたんにかわいらしく思えてきます。子供の頃にやったように、人形を自分に置き換えて、描いた想像の世界に登場させるような遊び心のようにも感じられたり、また一方でその磁器がふわりと幻想の世界を奏でてそれが広がっているような感覚も届けられるように思えます。


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紡がれる幻想的な世界は、それぞれの画面で伸びやかに展開され、バラエティに富んだ情景が次々に現されていきます。
磁器の人形などのかわいらしい表情と細かい描写がひとつひとつの情景への意識が入り込んでいく入り口となって、スムーズにその世界へと誘われていきます。
そして湧くような筆跡で描かれていくその場面には不思議な奥行きが漂い、さらに不思議で心地よい感覚が心を満たしていくように思えます。


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明るい、白を基調としたような色彩感の作品からは、ふわりと浮遊して膨らむような雰囲気がひときわ強く届けられます。至近で眺めると絵の具の質感の生々しさがしっかりと伝わってきてその表情にも惹かれ、それらが醸し出すやさしい気配によって全体の風景の爽やかな風合いに森さんの作品らしいふくよかな深みがもたらされているようにも思えます。
縮尺も多彩に展開されてさまざまな要素が画面に配されて、そのおだやかな遊びの感覚がひたすら緊張をほどいてくれます。咲く花の麗らかさや動物たちの愛らしさ、そういった生命の感触が中央に佇む磁器の女性に命を宿らせて、そこから物語が始まっていくような印象も思い浮かんできます。


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小さな画面の作品でも、要素の数こそ抑えられるものの小気味よくその幻想的な世界が紡がれていきます。


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そういったなかでも、用いられる色彩の数が抑えられた、透明感のある青と白とで綴られる作品が印象に残ります。
たくさんの色が使われる作品のおおらかさ、明るさとは裏腹に、用いられている色彩の印象も相まってほんのりと暗さや淋しさが奏でられているような感じがあって、展示全体でもアクセントとして効いていたように思えます。


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磁器の人形を登場させず、風景や静物のみの作品も。
森さんらしい筆致のふわふわとした味わい深さをやさしく漂わせます。


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ひとつの物語が横たわり、それによって紡がれる様々な場面とおおらかに散りばめられる色彩が明るい雰囲気で空間全体を満たし、それに包み込まれる感覚が心地よく感じられた次第です。


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posted by makuuchi at 06:08| review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年04月17日

review:小島章義 Little island《3/5、3/24》

review:小島章義 Little island《3/5、3/24》

小島章義 Little island
GALLERY TERRA TOKYO
東京都千代田区岩本町2-6-12 曙ビル1F
03-5829-6206
3/5(土)〜4/9(土)日月祝・3/28〜4/4休
11:00〜19:00
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Akiyoshi Kojima "Little island"
GALLERY TERRA TOKYO
東京都千代田区岩本町2-6-12-1F,
03-5829-6206
3/5(Sat)-4/9(Sat) closed on Sunday,Monday,national holiday and 3/28-4/4
11:00-19:00
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統一感のない多彩なモチーフ、サイズ、マチエルがひとつの空間にほんわかとさざめき合い、不思議な雰囲気が作り出されていたのが印象的だった小島章義さんの個展。バラエティに富んだ構成で、ひとつひとつの作品からやさしい風合いが心地よく感じられ、そして、むしろ雑多さが生み出す世界観にはしっかりとひとりのアーティストのクリエイションとしての説得力が感じられたのも興味深く思えた次第です。


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ゴールドに塗装された手製の額も静かなインパクトを醸し出す作品群。
描かれるモチーフのシンプルさ、用いられる色彩も含めて抑え込まれる要素の数が、それぞれの作品の「もの」としての存在感を、ユーモラスで飄々とした雰囲気とともに色濃く醸し出します。


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小品は、小さな画面におさめられた風景のころりとした、ふわふわとしたかわいらしさが際立ちます。
長閑な雰囲気がゆるやかに醸し出されて、暖かな感触がやさしく届けられます。


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常に構図に遊びが入る感じも痛快です。
支持体の下地の質感や色合いも、シンプルに乗る絵の具や筆の運びの独特の感触を強め、それ自体もしっかりと主張しているように思えて、何となく偶然に作られているようにも思えるほどに軽妙に展開され表現される情景から、程よい賑々しさも紡ぎ出されます。


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下地に入る細かいヒビが印象的な作品。
どこか朽ちた壁のような、古びた壁のような感触が無数にびっしりと広がるクラックから思い浮かべられ、そこに影のような淡くて濃い風合いで描かれる瓶らしきもののシルエットとひょろひょろと絡まる青い線とが色彩感も相まって不思議な爽やかさを奏でます。


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ほんのりとした色彩の花柄がふわふわと浮かぶ板が壁に設置され、そこに飾られたパネルの作品。板の素材感は白く塗布されたなかから漂い、広がる壁面の風合いと相まってその「もの」としての臨場感を空間に強く醸し出します。ひときわ淡い色合いで描かれる曖昧な情景も、やさしくうっすらと脳裏に届けられて広がって、やさしい気持ちに満たされていきます。


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そして強烈に存在感を放っていた巨大な作品も。
サイズがサイズなだけにインパクトは充分、しかし大きな画面が逆に不器用な感覚を強めて、濃厚に描かれるパターンや色調もどっしりと感じられ、そして届けられる気配がユーモラスな味わいを纏っているように思えるのも楽しいです。


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なんとも不思議な印象が心に残り、その残るイメージの感触も心地よくて。。。
さまざまな要素が混在する空間はその輪郭がむしろ曖昧で、捕らえ所はストレートに放たれていないようにも思えるのですが、紡がれるふわふわとした気配に徐々に包み込まれ、イマジネーションに浸透していく感覚が何とも言えず心地よく思えます。


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posted by makuuchi at 12:32| review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年04月16日

review:『ν romanver』上田尚宏/加茂昂/木村泰平/須賀悠介《3/26、3/30》

review:『ν romanver』上田尚宏/加茂昂/木村泰平/須賀悠介《3/26、3/30》

『ν romanver』上田尚宏/加茂昂/木村泰平/須賀悠介
island MEDIUM
東京都千代田区外神田6-11-14 3331 Arts Chiyoda 205
03-5812-4945
3/26(土)〜4/17(日)月火休
12:00〜19:00
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"ν romanver" Takahiro Ueda/Akira Kamo/Taihei Kimura/SORGANIZER
island MEDIUM
6-11-14-205,Soto-Kanda,Chiyoda-ku,Tokyo
03-5812-4945
3/26(Sat)-4/17(Sun) closed on Monday and Tuesday
12:00-19:00
Google translate



須賀悠介のキュレーションによるグループショー、僕の個人的なツボをしっかりと抑えられた感じが嬉しくて痛快で・・・!
それぞれに配された作品のクールさとホットさとの混在が醸し出すフューチャリスティックな気配にぐんぐんと呑み込まれていく空間が構築されています。


上田尚宏さんの作品、何やら物々しい機器類がずらりと並べ置かれていて、いったいなんだろうこれは、と。。。
右にあるアンテナで実際に電波で発信されている情報を受信しそれをパソコンに取り込んでリアルタイムでその画像にエフェクトをかけてさまざまな歪みを生んでいく、という本来はパフォーマンスも含めての作品とのこと。パソコンのモニターにはその様子が映し出されていて、何となくどういう感じで繰り広げられるかかが伝わってきます。


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その画像のキャプチャーが4枚、並べて展示されていて、その無機的で緻密な光景に一気に魅せられます。
日本の天気概況を捕らえた映像が取り込まれ、そこに被さって交錯するさまざまな線、一様に無機的で、数値化されデータとなった日本列島が電気的な圧力をかけられてざらついた歪みが放つ冷徹で熱いエネルギーが想像力を刺激してきます。
全て黒と白のトーンで表出していることも、ソリッドさを際立たせます。


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合わせて小さなモニターで映像も。
ひたすら変化していく画像に食い入るように見入ってしまいます。


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柏で開催されたグループ展で拝見し、そのヴィヴィッドな造形が強烈なインパクトを放っていた作品が忘れ難い木村泰平さん。そのときは一体成形の像だったのですが、今回は関節ごとに分けてパーツが作られ、それを組み上げた実物大の人物像が、マリオネットよろしく組まれた足場に吊るされて展示されていて、台上に設置されたときとはまた異なる危うさを醸し出しています。


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遠心力によって外側へと飛び散るように無数の棘状の突起がその体躯を覆い、アグレッシブでアバンギャルドな雰囲気を濃く放ちます。虚空に浮かぶように展示された姿はどこかコミカルでもあり、仕草と質感とのギャップが混沌とした雰囲気をたったひとりの像で生み出します。


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至近で眺めるとそのテクスチャーの異様さがさらに深く視覚に訴えてきます。
鈍い光沢を放つ表層のグロテスクな感触。鋭い突起はその尖端が俯瞰したときの印象とは裏腹に思いのほか丸みを帯びていて、遠くから眺めているときの激しい雰囲気とは異なり、どこか揺らめくような、ぞわぞわと湧いてくるような感触も思い起こされます。関節部分のボルトの生々しさのインパクトも強烈、相当に濃厚な気配を備え、観る側の意識をあらゆるかたちで蹂躙してきます。


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須賀悠介は木彫作品とはまた別の彼の一面を極めて大胆に表した巨大なオブジェクトを発表。
ふたつのエネルギーが衝突しているかのような情景をさまざまな素材を用いて作り出し、サイズの大きさがもたらすダイナミズムとともに、そこに起こっている事象へのイメージも異様に壮大に膨らんでいきます。
台座に設置された造形でありながら凄まじく動的な感覚を溢れさせる作品です。


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メカニカルな造形を組み込んだ側、その構造の無機的な感覚とは裏腹に、用いられる素材が木や竹などの有機物で統一され、それぞれにシルバーが塗布されてブリリアントな感触も強められています。素材自体が持つぬくもりと構築された構造のアグレッシブでありながら幾何学的な風合いが不思議なギャップを生み、そのユーモアもイマジネーションを刺激してきます。ディテールの面白さ、手の込んだ複雑さに唸らされつつ、轟々と凄まじい音を立てながら衝撃を発しているような雰囲気に圧倒されます。


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反対側は人の下半身の存在感が異様に際立ち、造形の有機的な感触もそれによって強く提示されます。しかし用いられる素材は対面する木や竹の有機物とは裏腹に、金属やプラスチック類などのケミカルな素材がふんだんに持ち込まれ、こちらは無機物で有機的な気配を濃く生み出していて、その展開にも成る程と感じ入ります。
廃材感はさらに強烈、さまざまなモノを凝縮した混沌感が異様な雰囲気を濃厚に醸し出します。


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加茂昂さんは与えられた壁面いっぱいに数多くの画面を配し、圧倒的なスケールで壮大な情景を展開しています。ずらりと並ぶ画面のひとつひとつに描き込まれるバラエティに富んだ光景群、ディテールを観ていってひたすらもたらされる発見と刺激に高揚感がひたすら煽られ続けます。イマジネーションの膨張も尋常でなく、あらゆるアプローチで繰り出される光の表現、ポップなダイナミズムが再現なく生み出されていてそのアグレッシブな雰囲気に包み込まれる感覚も痛快です。。


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さらに、重ねられる画面によってもたらされる物理的な立体感が、その光景をさらに刺激的なものへと押し上げます。下地となる画面を踏まえ、あたかも3Dで飛び出てくるかのように(実際に飛び出ているわけですが、構造としてではなく視覚的な)痛快なインパクトがそこかしこから放たれて、それぞれの展開がまたどうにも痛快でポジティブな世界観をで強烈に迫ってきます。
多彩で鮮やかな色彩感も爽快さをいっそう強め、眺めているだけでエネルギーが得られるような感覚をこのスケールで体感できることがとにかく嬉しいです。


加茂昂_05.JPG 加茂昂_04.JPG 加茂昂_03.JPG 加茂昂_02.JPG

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posted by makuuchi at 07:43| review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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