2011年04月25日

review:福重明子展「Goahti(ゴアティ)」《3/19》

review:福重明子展「Goahti(ゴアティ)」《3/19》

福重明子展「Goahti(ゴアティ)」
The Third Gallery Aya
大阪府大阪市西区江戸堀1-8-24 若狭ビル2F
06-6445-3557
3/1(火)〜3/19(土)日月休
12:00〜19:00(土:〜17:00)
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Akiko Fukushige exhibition "Goahti"
The Third Gallery Aya
1-8-24-2F,Edobori,Nishi-ku,Osaka-shi,Osaka-fu
06-6445-3557
3/1(Tue)-3/19(Sat) closed on Sunday and Monday
12:00-19:00(Sat:-17:00)
Google translate



シルクスクリーンプリントで重ね刷られる細やかなレース模様、さらにそこにペンによってさまざまな紋様が描き込まれて、ほんのりと幻想的でおおらかな情景がそこに現れます。


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軽やかな色彩で刷られる版の部分は遠目では淡い色彩の広がりとなり、仄かさ、曖昧さが強い輪郭の黒の線の密集の向こう側、遠くにふわりと浮かんで漂うような気配がもたらされているようにも思えます。それらを至近で眺めると、隠れていた細かいパターンが浮かび出てきて、画面の奥行き感、2次元に収まらない複雑なレイヤー感がもたらされます。


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比較的薄く淡い色彩を背景にした作品が多くを占めていたなかで、画面のほぼ全面を黒い描写で埋め尽くされた作品がひときわ重い気配を醸し出していたのもいm賞に残っています。
さまざまなパターンが執拗に描き込まれ、それらは一度のストロークですべてを埋め尽くしてしまうような大胆で粗い黒の広がりのなかに紛れ、遠目でひときわ濃く深い黒の面となって重く漂い、至近で眺めてそこに緻密な描写が確認されることでさらに意識がその密度に呑まれていくようにも思えます。


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額とマットを駆使してさまざまな構図を構造的に展開する作品も楽しいです。
大小の窓にそれぞれ収まる情景は、密度は互いに大きな差はないものの、縮尺が異なって提示されているようにも思えて、その関係性が時空の流れ、行き来のイメージをもたらしてくれます。


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3枚の画面を連ねて展開される大作は圧巻です。
細かいストロークがひたすら紡がれてさまざまな情景がそこに描き出され、それらが醸し出すスケール感のおおらかさ、ダイナミズムにも感じ入ると同時に、その細かい描写とは裏腹にどこか水墨画を彷彿させる儚げな感触もそこから奏でられているようにも思えて、ふわりとやさしく繊細に膨らむ気配に魅せられます。


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大判の版作品も、いくつもの色彩が刷られることでそれらが繊細な衝突を生み、それぞれの色で展開されるレースのような細やかなモチーフがひとつの情景を彷彿させて、それが色の数だけひとつの画面におさめられていることが何とも不思議な世界となって包みこむように迫ってきます。レース模様はそれぞれ緻密でありながらも、ある意味飄々としたスタンスで重ねられることでそこに描かれる情景の輪郭がむしろ際立ち、全体を眺めたときの特に淡い色彩の曖昧さと響き合って澄んだ気配が導き出されているように思えます。


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ノルウェーに滞在されたときの体験からインスパイアされて制作された情景群、特にペンによる線描の部分など、細やかな表現に立ち上がる鋭いエッジが空気の冷たさ、肌に刺さるような張りつめた感覚を思い起こさせ、また淡い色彩はどこか幻想的なイメージがそこから感じ取れて、福重さんの作品世界を通じて見知らぬ場所への憧憬も深まるように思えます。やさしさと緊張感の案配が絶妙な作品群です。


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posted by makuuchi at 06:19| review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年04月23日

review:加藤直個展「sunao」《4/2、4/7》

review:加藤直個展「sunao」《4/2、4/7》

加藤直個展「sunao」
CASHI
東京都中央区日本橋馬喰町2-5-18-1F
03-5825-4703
4/1(金)〜4/23(土)日月祝休
11:00〜19:00
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Sunao Kato "sunao"
CASHI
2-5-18-1F,Nihonbashi-Bakuro-cho,Chuo-ku,Tokyo
03-5825-4703
4/1(Fri)-4/23(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday
11:00-19:00
Google translate



目にした瞬間の感情な激しさを伴うグラフィティ的な感触。刹那、抵抗感がぶわっと湧いてくる感じがするのですが、それでも何かを掴まれたような感じがしてその「何か」を探るべくじっと対峙していると、その実さまざまな要素が大胆で粗い身体的なストロークのなかに紛れるようにして描き込まれていてその密度に引き込まれ、さらに一見してコラージュで何かを貼ってあるのかと思うほどの写実性でアニメのキャラクターやさまざまなものが描写されていたりもして、ひたすら煽るような激しさを内包する過剰な混沌にユーモアや複雑に構築された世界観などが立ち上がってきて、ひとたびこのグロテスクな雰囲気に共感を覚えたらひたすらあとはポジティブにそこに現れる要素が脳内で絡み合い、新たな反応を繰り返しながら関わり続けて、さらに濃密で情動的な世界が脳内を占めていくという、そんな感じ。。。

初めて拝見したのが今回の展覧会の共同企画者のひとり、TARONASUのスタッフの鹿叉さんが一昨年のULTRAで紹介されていた展示で、受け持つ壁面をキャンバス作品で覆い尽くした極めてストレートでシンプルなインスタレーションに驚かされたのと同時に、実に雑で雑多な、捕らえ所が見つからないんだけどその密度のばらつきが何故か逆に気になって、あらためてじっくりと拝見したらそれはもう無数の発見と刺激に満ちた世界だったわけで。。。

焦燥と情動に溢れるクリエイション、その狂気に満ちたような展開と大胆でダイナミックな筆致が観る者の感覚を蹂躙し、しかし散りばめられる要素や仕掛けは数多く、かつそれぞれのモチーフの配置の感覚的な確信が何とも頼もしく思えてきます。
加藤さんの昨年の芸大での卒業制作展でも発表された大作、あらためてじっくりと対峙してみて、ひたすらワケの分からない謎めき渦巻く気配、全体を俯瞰したときに、描き込みの度合いでいうと拍子抜けするほどにすこんと抜けた感じがする背景のユニオンフラッグ、だからこその刹那的な感触に風を受けて進むようにその世界へと促され、画面中央部は言わずもがな、要素の密集の凄まじいことといったら、はたまたその周辺、何やらクラゲの傘っぽいかたちのなかに汚れたように乗る色やら落書きやらがざわめきを生み、張りつめたなかに緩急が繰り込まれるように、無数のテンションが幾重にも、そしてあらゆる方向、方面に巡らされているように思え、なんとも痛快な気分に高揚させられた次第。


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春めく情景を自身の世界に取り込んだような作品も。
ひたすら混沌とし、描かれるモチーフの縮尺に統一感など関係ないといった案配でさまざまなモチーフが描き重ねられ、また笑える恐怖というか、感覚的に例えば「目から何か生えてきてたら面白いよね、絶対面白い!」みたいな思いつきに情景反射的に描き加えられる余計なものが異様な存在感を得て異様な気配をそこにもたらしていたり、逆にどこか内省的な印象をもたらす要素、裸の赤ちゃんが佇む姿の無垢さや仕草、そこかしこのあっけらかんとした顔などに穏やかさを感じたりもして、ひとつの作品から得る感覚は一向にまとまっていかないのですが、しかしそれが良いというか、頼もしい痛快さとなってワクワクさせてくれます。


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顔を大きく描く作品では、そこにさまざまなかたちで生死感のようなものが表現されているようにも思えます。顔の数だけ、あるいは身体の数だけ意識や意思が交錯し、しかしその距離感やスピードは表現の具合によって千差万別、さらにさまざまなタッチが激しく描き殴られて重く濃い混沌となって観る者に迫ってきます。


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空間としての立ち位置がなかなか掴みきれない、くっきりと太い稜線で描かれている子供の姿はその存在をしっかりと晒しながらも浮遊感は失せず、寧ろ記憶の漂いのなかからふわりと現れたかのような儚げな雰囲気さえ醸し出します。
一方、画面左下、ちょうど大きく描かれる顔の顎のラインに沿うようにしてこちらを向いて並び、その上に積み上がるように顔が現れているところなどはそのまま記憶から無尽蔵に湧いてきているようなどこかおどろおどろしい悲しさを思い起こさせます。
大きく描かれる頭部の異様さ、鼻筋かと思って線を追っていくと別のモチーフのものだったりしてそのずらされる感覚も痛快、さらには右下の横向きの髑髏の直線的なおどろおどろしさ死の象徴でありながらもどこか活き活きとしているように感じられたり。。。
この作品については何といっても全体を覆う赤のインパクトが強烈なのですが、そこに潜むさまざまな要素が濃い気配からその存在を浮かび上がらせてせり出してくる感触に呑まれてしまいます。


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大きめのキャンバスにそのサイズいっぱいに顔が描かれるとそれだけで充分に迫力があるのですが、加藤さんの作品ではその顔の奥にも手前にも、無数に手前にも奥にもさまざまな奥行き感で顔や人物の姿などが描き込まれ、混在する縮尺や距離感が強烈に濃密な混沌を生み出していきます。ひときわ多彩な色が用いられている作品、ややかしげる大きな頭部の傾いた重力感がその内側に詰め込まれる顔や人影に不安定さを大きくもたらし、それが落ち着かない雰囲気となって覆い被さってきます。
そんななかにうっすらと浮かぶ髑髏の妖しくおどろおどろしい感触、一方で左目のなかに何ともかわいらしい女の子のキャラクターが(僕は分からないのですが分かる人には分かるらしいです。。。)いて唐突に明るく無邪気な雰囲気がきらきらと灯っていたり、はたまた画面の左下のアーモンドチョコレートの異様にリアルに描かれていることの奇妙さに魅せられたり・・・、いろんな要素が出入りを繰り返してそれがこの世界の物語を複雑に膨らませていきます。


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およそ、ひとつの画面に大きく顔が描かれていることが一貫しているということにおいてシリーズ的な展開も思い起こされますが、しかしそれぞれの画面に現れるモチーフや色彩の絶対的な違いが実におおらかなバリエーションとなって現れ、その多彩さが痛快に思えます。
一方で、雰囲気の違いこそあれ、その刹那的な雰囲気や放たれるスピード感は近いものがあるようにも感じられ、こういったかたちで繰り出されるバリエーションにも唸らされます。
しかもそれらが理性的なコントロール下で行われている感じがしないのが凄いというか、信じられないほどのバイタリティにも感じ入ります。


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丸い画面の2点の作品、円というかたちの特性が活かされたような印象で、並ぶ画面の一方が髑髏、もう一方が子供の頭部で纏められているという構成や、下地のはたくさんの色彩が混ざっていてそれぞれに白の線、もしくは白を残すようなシルエットで表現されていたりと、さまざまな点での対比がいろんな想いを呼び込んでくれます。


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大きく顔が描かれた作品でありながら、アバンギャルドさが抑えられ、ひときわ凪いでいる静かな気配が印象的な安寧さが横たわる作品も。
大きく描かれる顔と見開かれる目は何かこちらが覗き込まれているような感覚ももたらして何となくぎょっともするのですが、眉間の辺りの広い色面が穏やかな雰囲気を醸し出し、対峙していてやや気を抜けさせてくれるのが嬉しく思えます。


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これほど大胆な緩急が展開されることに、ただ唸らされます。
広い画面を大きく捕らえてダイナミックに、刹那的に展開する一方で所々に立ち止まり、逆にそこを掘り進むように緻密な描写で細やかな要素を描き込んだり、筆裁きのバリエーションもそのアグレッシブでアバンギャルドな世界観におおいに作用しているように思えます。
凄く大きな作品も観てみたいです。そのときどれほど大胆な緩急が生み出されるかを想像するとホントにワクワクします。


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posted by makuuchi at 13:42| review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

review:内海聖史展「さくらのなかりせば」”with”《4/9、4/14》

review:内海聖史展「さくらのなかりせば」”with”《4/9、4/14》

内海聖史展「さくらのなかりせば」”with”
GALERIE ANDO
東京都渋谷区松濤1-26-23
03-5454-2015
4/5(火)〜4/23(土)日月休
11:30〜19:00
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Satoshi Uchiumi exhibition 'Sakura no Nakariseba "with”'
GALERIE ANDO
1-26-23Shoto,Shibuya-ku,Tokyo
03-5454-2015
4/5(Tue)-4/23(Sat) closed on Sunday and Monday
11:30-19:00
Google translate



もう何度も体感している内海聖史さんの世界。昨年も何度か作品を拝見する機会に恵まれてはいたものの、新作の個展を目にするのは一昨年以来となることもあり、無論今回の個展も楽しみで。しかも、同じスペースで3回目、というのは内海さんにとっても初めてとのことで、これまでこのスペースで開催された2度の展示での経験を踏まえ、今回はどのようにこのなかなかない構造の空間を解釈してくるかにも非常に興味を持ち、僕自身の期待も充分に高まっていました。

ギャラリーの入り口の扉に辿り着き、ガラス越しにスペースのなかを眺めた瞬間から一気に圧倒的な多幸感に包み込まれます。
今回の内海さんのメインの作品は、ピンクを基調とした8面のパネルに渡って展開される大作。ギャラリーに入ってまずそこに佇み、眼前に広がる鮮やかな光景に心が奪われます。空間全体も染め上げてしまうほどに明るく軽やかな色彩が溢れ、また桜の季節ということも相まって、ふわりと浮遊するような心地よい感覚が一気に膨らんでいきます。


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やや甘い角度で接するふたつの壁面での展開がまず考えられ、それぞれ合わせるとふたつの壁面とちょうど同じ幅になるようにまずはキャンバスが用意されることが考えられたとのことで、しかしそれでは2面の壁に渡って展開される作品の中央部、すなわち自然にまず目が向かう部分が奥まってしまううことになってしまうため、そうならないように僅かにアールを描くような構造での展開に着手されたのだそう。壁面に沿って自然に丸まるように連なる画面はひとつの景色としてなんとも自然で、するりとその世界へと意識を誘うことにおおいに貢献しているように感じられます。

あたかも桜の森を空から俯瞰しているかのようなダイナミックな光景はただただ圧巻で、しかも内海さんの綿棒サイズのドットでの展開の作品としては今回のものが最大とのことで、この大きさにあってひたすらに一貫して凄まじい密度での展開が繰り出されていることにも感じ入ります。

しっかりと全像を拝見し、そこから至近で画面との対峙を。
意外にも、というかはやり、というか、全体としての圧倒的なピンクの印象とは裏腹に、至近で観ていくとそのピンク自体のバリエーションの凄まじい豊富さ、微妙な差異で濃淡が紡ぎ出されていることに唸らされ、またピンク系統以外の色彩も驚くほどふんだんに挿入されていて、そういった色彩の配置によってさまざまなコントラストやグラデーションがそこかしこに生まれていて、そのひとつひとつから獲得していく発見の量の多さにも呆然とさせられた次第。
大きく広がるピンクの色彩の奥に入り込むようにして、淡いグレーやブルー、内海さんの色彩という印象もあるグリーンやブラウンといった濃い色などが散見され、多幸感に満ちた画面のなかで激しいせめぎ合いも繰り広げられているようなイメージも届けられます。


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さらに至近で眺めていって、そのマチエル自体の複雑さにも高揚させられます。
絵の具を付着させて画面に押し付けられる綿棒の感触、付いて離れる刹那の痕跡を思わせる小さな円形に沿って現れるミルククラウンのような立体的な盛り上がり。その密集と、重ねて打ち込まれるドットが重ねられるほうのエッジを壊していく感触。紡がれる時間の過程へと想いを馳せたときに、色彩におけるダイナミックな変化はもちろん、物理的な、立体的な構造の変遷も実にアグレッシブなイメージとなって好奇心を煽ってきます。しかもそれぞれの色彩の微妙な、はたまた大胆な差異それぞれでの衝突からもたらされる感覚も痛快で、それがこれだけの量で展開されていることを画面の前で実感し、あらためて気が遠くなったりも。。。


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さらに興味深いのが、広いピンクの色面となった部分にたった1点配される別の色彩のドットの存在。そういった箇所がいくつかあり、アクセントとして非常に効いていて、その部分についてひとつの色面としての把握を許さない緊張感を醸し出します。
たったひとつの別の色彩のドットが、その広い色面に強力な視線の誘導を生み出します。ひとたびその部分に目が向かったとき、そのたったひとつのドットの存在に意識が奪われ、そこからだんだんと微妙で繊細な色彩や画面の表情からの発見を獲得していく、という流れがその都度導き出されていきます。
一瞬で、はっと掴まされる感覚とそこから緩やかに無限の質感が立ち上がって現れていく時間の経過は至高そのもの、ひたすらこの世界に感覚をゆだねて刺激を得続けていられたら、などという妄想も湧いてきます。


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この大作ともう1点展示された小品。
スケール感こそ大きな差があるものの、色彩といいサイズといい、その存在はしっかりと主張していて、割合として多くを占める緑の色調とそこにふわりと乗るピンクの色面とが美しいコントラストを紡ぎ出しています。


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伺えばピンクという色彩はいつか挑みたいと思われていたそうで、今回の個展は4月、すなわち人々がピンクという色彩にもっとも繊細に反応する季節、この色への感受性が高まっている時期ということもあってこの展開を実行されたとのこと。
コンパクトながらも比較的はっきりとした動線を備えたこの空間自体に、その構造を活かした展示が繰り広げられているだけに留まらず、季節的に観る側の感覚がどのうような状態かも踏まえられていることを知り、さらに深く感嘆させられた次第です。
ひたすらに抽象的で、それでいてこれだけキャッチーなイメージが提供されることにもあらためて唸らされます。


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posted by makuuchi at 11:27| review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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