2011年03月31日

review:大槻素子『a blank』《2/26、3/5》

review:大槻素子『a blank』《2/26、3/5》

大槻素子『a blank』
アルマスGALLERY
東京都江東区深川2-2-3
03-6412-8210
2/26(土)〜3/12(土)月休
12:00〜19:00
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Motoko Otsuki "a blank"
HARMAS GALLERY
2-2-3,Fukagawa,Koto-ku,Tokyo
03-6412-8210
2/26(Sat)-3/12(Sat) closed on Monday
12:00-19:00
Google translate



クリームのような、やさしくて和やかな風合いのタッチとテクスチャー、それで描かれるケーキが醸し出す雰囲気は思わず笑みがこぼれそうで、それでいてキャンバスに乗る絵の具の濃厚な質感によりほんのりと独特のスリリングな緊張感が漂う作品群をまず、大槻素子さんというと思い浮かべるのですが、今回の個展では描かれるモチーフのバリエーションが一気に広がり、またそれに合わせて用いられる色彩も増え、そして爽やかな雰囲気がふわりと空間を満たしていたのが心地よく感じられました。


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サンドイッチやサラダなど、朝の食卓を彩るような印象のフレッシュなモチーフが採り上げられて楽しくて、また緩やかな具象性とストロークの濃厚さが描かれる情景の爽やかさにしっとりとりた穏やかな風合いをもたらします。


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他にもさまざまな食材や料理が登場してきます。
淡い色彩が多く用いられることで軽やかな風合いも生まれて、作品を眺めているとふわりとした心持ちで満たされていきます。そして少しだけお腹もすいてきます。


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構図のユニークさやそのバラエティの豊かさにも魅せられます。
画面いっぱいに、盛りつけられた料理が描かれた作品の迫力もどこかワクワクさせられ、一方で全体を捕らえて広く描く構図のものは、テーブル、お皿、そして料理のバランスがそのまま色彩のバランスにも作用し、さらに淡くもたらされる大きなシルエットも作品自体の色合いの印象をよりしっとりとおおらかに、豊かにしてくれているように思えます。


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スウィーツを描いた作品も。
しかしチョコレートのブラウンのやや沈んだ色彩、加えて背景の濃いグレー調の色彩がひときわ印象的で、また色彩自体の独特のやさしさも展示の中のアクセントとしても効いていました。


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いろんな食材が描かれ、多彩な色も用いられて広がった大槻さんのペインティングの世界、テクスチャーの濃厚さとモチーフの爽やかさとが響き合い、新鮮なイメージが嬉しいです。もっといろんなシチュエーションを採り上げた作品も是非拝見してみたいし、楽しみです。


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posted by makuuchi at 07:49| review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年03月30日

review:Frank Nitsche [ I AM SINGLE ]《2/19、3/1》

review:Frank Nitsche [ I AM SINGLE ]《2/19、3/1》

Frank Nitsche [ I AM SINGLE ]
NANZUKA UNDERGROUND
東京都港区白金3-1-15 SHIROKANE ART COMPLEX 2F
03-6459-3130
2/19(土)〜3/26(土)日月祝休
11:00〜19:00

Frank Nitsche [ I AM SINGLE ]
NANZUKA UNDERGROUND
3-1-15-2F,Shirokane,Minato-ku,Tokyo
03-6459-3130
2/19(Sat)-3/26(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday
11:00-19:00
Google translate



ギャラリーに入った瞬間に、完成された考え尽くされた空間構成にまず唸らされた次第。モノトーンで構成され、幾何学的なモチーフや線がひとつの画面に重ねて描かれて構築される情景は淡々と無機的な雰囲気を紡ぎ出し、同時にどこか建築物の図面を彷彿させる構図が壮大なスケール感も届けてくれて、未来的な雰囲気に一気に引き込まれます。


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ひたすらに無機的なモチーフが描き重ねられるペインティング。
正面に描かれる楕円状の色面は硬質な構図にふくよかさをもたらし、それがクールな世界観に絶妙にあたたかなテイストが届けられます。
一方でさまざまに描き加えられるラインが生み出す図形的なパースがそれぞれの画面に三次元的なイメージを導き出します。それぞれの色面や線が関係し合い、また抽象的な構成だからこそひとつの縮尺感に捕らわれないおおらかな自由度も提供され、そこから想像が広がっていくのも痛快です。


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画面に配される曲線のおおらかさに魅せられます。
描かれる弧の豊かさは、淡々とした色調と響き合ってそこによりダイナミックなスケール感を提供します。


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それぞれの作品をじっくりと至近で眺めていると、微妙に立体的になっているマチエルに興味が湧いてきます。
ひとつの画面はどうやら何層も重ねてモチーフが描き上げられているようで、別の色面が被さってその下に沈む線や色面の存在に意識が向かうと、対峙する作品の物理的な構造へも想像が膨らんでいきます。


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画面に平面的に提示される立体感がもたらす壮大さに加えて、重なる色面や線の物理的な構造が導き出す奥行き感が、眼前の情景にさらなる深みをもたらします。重なっている色面と色面との間に三次元的な空間を意識できた時点でそのスケール感はいっそう壮大になり、複雑さも増し、そして構築される過程へも想像が向かうことでさまざまなかたちにイメージが広がっていくのも痛快です。


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大胆に展開される構造の面白さがとにかく痛快です。大きく塗られた色面のひとつ向こうに潜む線の交錯や色面の配置を思うとワクワクしてきます。
また、描かれる過程を想像したとき、おそらくはその時点で出来上がる構造によって新たにインスピレーションが生み出されたのだろうという思いに至り、そのことが見えなくなっている部分への好奇心も掻き立てます。


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床まで白い空間が、展示されいる作品の面白さをぐっとシャープに引き出していて、また作品ごとのサイズや色合いなどのバランスを感覚的に意識したと思われる配置の絶妙さにも感じ入りました。
ひとつの空間にもたらされるスマートさ、ストレートな統一感、とてつもなくクールな雰囲気など、そこに導き出されていた気配すべてが洗練されていて、深遠なイメージに意識も沈み込んでいきました。
圧倒的な世界観に浸れたのが得難い経験だったように思えます。


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posted by makuuchi at 07:49| review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

review:吉岡雅哉 庭いじり《2/4、2/17》

review:吉岡雅哉 庭いじり《2/4、2/17》

吉岡雅哉 庭いじり
GALERIE SHO CONTEMPORARY ART
東京都中央区日本橋3-2-9 三晶ビルB1F
03-3275-1008
2/4(金)〜3/12(土)日祝休
11:00〜19:00(土:〜17:00)
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Masaya Yoshioka Niwaijiri
GALERIE SHO CONTEMPORARY ART
3-2-9-B1F,Nihonbashi,Chuo-ku,Tokyo
03-3275-1008
2/4(Fri)-3/12(Sat) closed on Sunday and national holiday
11:00-19:00(Sat:-17:00)
Google translate



描かれる場面の酷さ、エログロ両面において敢えて過剰に振り切るような情景をチョイスする吉岡さんのペインティングは新しいものほどむしろその感触がさらに押し進められているような印象を受けます。特に今回の個展では、描かれる場面だけを取り上げると目を背けたくなるようなものがずらりと並んでいて空間を満たす雰囲気といったらそれはもう相当なカオスそのものだったのですが、それでもじっくりと観てしまうのはやはりそれぞれの作品のペインティングとしての深み、面白みが備わっているからなのでは、と感じられた次第。


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日本家屋で繰り広げられるアバンギャルドな光景。
その場面自体はなんだかもう無茶な感じがするのですが、それを描き出すテクスチャーに意識を向ければ、濃い色彩はそれぞれが艶やかな深みが備わっていてその風合い自体に引き込まれ、またファットなストロークがより肉感的な雰囲気を生み出しているような印象を受けます。


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さまざまサイズの作品が纏めて展示された一角、ひとつひとつの作品における空の青さや浮かぶ雲のもりもりとした感触、瑞々しい緑などの鮮やかな色彩にポジティブなイメージに満たされます。そのペインティングとしての面白さに魅せられるのとは裏腹に、描かれる場面が場面だけに「うわぁ...」という気分も湧いてきて、何とも言えない感触が心の中でせめぎ合います。


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小さく奥まったスペースに展示されていた小品。
直接的にエロティックな女性の表情が描かれていて、その独特で絶妙なバランスの写実性に惹かれます。画面に乗るストロークにはいわゆる精緻な表現を生む動きは感じられないにもかかわらず、そのひとつひとつは気配をしっかりと捕らえていて臨場感をそこにもたらし、艶かしい雰囲気をいっそう強めます。


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バラエティに富んだ場面が展開されていたのも印象的です。
夜空に浮かぶ月とその姿を映し出す水面、鳥居などが日本的なエキゾチシズムを奏で、遠くに漂う夜景や海面を描き出すダイナミックなストロークの重なり、それらが醸し出すしっとりとした、そして深い気配も、二組の男女の姿で逆にひっくり返り、どうにもシュールな場面となって迫ってきます。


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ストレートに和室が描かれた作品も、律儀な構図や再現性が画面の左右それぞれに描かれる人々の姿により、何とも異様な情景となって届けられます。


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奥のコンパクトなスペースでは、アグレッシブな事故場面を描いた作品が。
吉岡さんの作品に以前より登場するコンビニ前での情景、これらの場面を表出するストロークはいっそうの激しさをもって画面に乗り、凄まじく動的なインパクトが放たれています。


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ひとつの情景にいくつものグロテスクなモチーフが詰め込まれ、強烈なカオスが画面から漂ってきます。しかし用いられる色彩の鮮やかさがその凄まじさを一方で加速させながらもどこかユーモラスで長閑な雰囲気を生み、独特のギャップが得難い雰囲気をそこにもたらしているように感じられるのも興味深いです。


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さらに奥のスペースでは、室内の女性のポートレイトが。
そこまでの作品の激しいタッチから一転し、淡々とその情景を描いているようなテクスチャーによりどこか落ち着いた雰囲気がしっとりと漂います。ほぼ同様の構図の作品が並べられることでもたらされていた静かなリズムも印象的で。


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理性の枷を外したようなアグレッシブで衝動的な場面がダイナミックなストロークで描かれることで、圧倒的なエネルギーが生み出され、またその刹那的な描写は独特のユーモアをも醸し出します。この世界観は以前より持続されていて、今回はさらに過剰さを増したような印象ですが、例えばこの先に全く普通の場面を吉岡さんが描いたらどんな雰囲気やイメージが届けられるだろう、と想像すると、それはそれでまた独特の気配が創出されるような気がして静かに好奇心も盛り上がってきます。


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posted by makuuchi at 07:16| review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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